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【2040年のモノ】「うつ」状態を知らせてくれるペンの登場

2040年の「文房具」を想像してみる〈後編〉

特集「2040年のモノ」。わたしたちが普段使っている文房具はどのように変化しているのだろうか。前編では、「ノート」を中心に考えてきた。では、そこに文字を写し取る「ペン」の未来はどうなのだろうか。引き続きワコムの掛晃幸さん(テクノロジー・ソリューション・ビジネスユニットマーケティングシニアディレクター)、菅野哲央さん(コーポレートコミュニケーションディレクター)に話を聞いた
「2040年のモノ」目次】【30年間の文房具の変化 ペンノート

■筆圧のデータがとれるAESとEMR

「電子ペンの技術はふたつあります。ひとつはタブレットPCで最近主流になりつつあるAESと言われる静電容量で使えるペンです。ペンの座標データを利用して絵や文字を入力するもので、筆圧センサーによって、力を入れると太い線、力を抜くと細い線が描けます。もうひとつはワコムが創業期からすっと磨き上げてきたEMR。これはペン側には電池がなく、パネル側に埋め込まれているデジタイザーと反応して、パネルにペンを近づけたときに共振により電気を起こして信号を送ることによって書けるものです」(掛さん)

 こうした電子ペンの性能は、細い芯の中に詰まっている。この芯を既存のエンピツやボールペンのパッケージに埋め込んだりすることができる。いま各メーカーに声をかけている所だという。

「最初は文具メーカーの側も反応も半信半疑です。しかし2回目までに実際に動くワーキングサンプルをつくってお待ちすると、実際に使用するイメージが沸きやすく、「なるほど!」と思ってくれるんです。これにソフトウェアも考えて、メーカーに合わせてカスタマイズします。伊東屋のコンシェルジュみたいに、人によってカスタマイズするということもやりたいですね」(掛さん)

ドイツが誇る世界的文具メーカー・ステッドラーの電子ペン。これにもワコムのテクノロジーが詰まっている。

 ワコムと伝統的な文房具メーカーとの提携がすすんでくれば、わたしたちが電子ペンの機能はそのままに自由に形、デザインを選べる未来もそう遠くないかもしれない。

 もうひとつ、このような電子文房具の普及を考える上でポイントになるのが教育界の動きだ。

 
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小林 拓矢

こばやし たくや

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)、共著に首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(ともにSB新書)など。


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