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【ICT教育元年】1人1台端末をめぐるルールの現状

第66回 学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

オンライン授業
3月中には支給される予定の端末、その活用法はいまだ曖昧だ

 

■持ち帰りはOK? 教育以外の使用は?

 萩生田光一文科相がICT端末を自宅に持ち帰ることに前向きな姿勢を見せている。新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の影響でGIGAスクール構想の1人1台ICT端末が前倒しで実現することとなり、今年3月末までには公立小中学校の児童生徒が「自分のICT端末」を手にすることになる。
 今後の焦点の一つは、その端末を家庭でも利用できるようになるのかどうかである。それによって学校側の対応も大きく変わってくるはずだ。
 オンライン授業について萩生田文科相は昨年10月9日の記者会見で、次のように述べている。

「一人ひとりに適切な指導をするためには児童・生徒のそばに教師がいる必要があり、教師がいない指導が対面授業に代替できるとは現段階で考えていない」

 つまり、ICT端末を子どもたちが持ち帰って家で授業を受けることは難しいというわけだ。
 1人1台ICT端末は新型コロナでの一斉休校から必要性が高まり、前倒しが決まった。これは一斉休校のような事態になってもオンラインで授業が実施できることを世論が期待したことも大きい。他にも学級閉鎖や、不登校の子が授業を受けるためにもオンライン授業を利用できる可能性はある。
 それを見越して、オンライン授業のためのコンテンツづくりに取り組んでいる学校、教員は少なくない。しかし、そうしたコンテンツを子どもたちが家で利用できる可能性を、萩生田文科相は先の発言で否定したことになる。

 オンライン授業が無理となると、子どもたちがICT端末を家に持ち帰る必要性もさしてなくなる。そのため、1人1台ICT端末が実現したら、保管は学校で行うことを前提にしている自治体は少なくない。
 そして2月16日、ICT端末の持ち帰りについて質問された萩生田文科相は次のように述べている。

「いままでも議論を積み重ねてきましたけれども、基本的にはですね、いつでも学び、自分自身の学び直しができるのがICT機器の良さなので。学校に大事に置いておくんじゃなくて、持ち帰りを前提に有効利用してもらいたいなという気持ちはあります」

 端末の持ち帰りについて積極的な姿勢である。ただし、ただアクセルだけを踏んでいるわけでもない。次のように続く。

「ICT教育元年ですから、スタートダッシュからですね、すべて持ち帰りで、家でも自由に使っていいよということが、本当に子どもたちのためになるかどうかということも含めて、設置者でこれからルール化をしていくんだと思う」

 設置者、つまり自治体ごとのルール化を促している。持ち帰るようにすべきだが、それには「ルールが必要」というわけだ。そのルールについても萩生田文科相は触れている。

「私はポジティブなリストでいいと思うのですけれど、逆に、自治体としてはネガティブリストをつくって、持ち帰ってもこういうことはやらせるべきじゃないとか、こういうものは時間制限するべきだとか、あるいは親子でのルール化をするようにとか、こんなことの準備をしていますので、一律にこうするべきだって国が指針を示すつもりはないんです」

 

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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