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「初観音」「一粒万倍日」「天赦日」とは? 初詣だけではない ご利益アップの参拝日和

■ご利益千倍・万倍デイもある!!

 多くの神社・寺院は一般の参拝者のために門戸を開いているので、日中であればいつお参りをしてもよい(一部の社寺は氏子・檀家以外の参拝を謝絶しているので要注意)。しかし、せっかくお参りに行くのなら、ご利益が大きい日がいい。そういう特別な日があるので覚えておこう。

 そうした日の一つが縁日。神仏と特別な縁を結べる日のことで、仏教由来の行事であるが天神社・天満宮や稲荷神社など神社でも行われている。
 この縁日は観音菩薩は18日、天神(菅原道真公)は25日と、神仏ごとに決まっている。ただし、日にちとはかぎらず、巳(み)の日の弁才天、甲子(きのえね)の日の大黒天(大国主命)のように干支のこともある。
 同じ神仏の縁日でもより強い縁が結べる日がある。その年最初の縁日(初観音など)と最後の縁日(納めの不動など)だ。また、7月10日に観音菩薩を本尊とする寺院や堂をお参りすると千日参拝したご利益があるとされ、千日詣りといわれる(東京の浅草寺では四万六千日という)。なお、伊弉冉尊(いざなみのみこと)などをお祀りする京都の愛宕神社にも千日詣りはあり、7月31日とする。

 暦の上でも参拝に向いている日がある。大安もそうだが、一粒の穀物で一万粒の収穫を得るように富が増える日とされる一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)や、天(の神)が罪を許す日とされる天赦日(てんしゃにち)も社寺参拝にふさわしく、願掛けが成就しやすいといわれる。
 いっぽう、人生には社寺をお参りすべき日というものがある。それは、人生の節目に行われる人生儀礼の日だ。
 人生儀礼にはこんなものがある。誕生、お七夜、命名、初節句、初参り、七五三、十三参り、成人式、結婚式、出産(安産祈願)、還暦、長寿祝い(古希・喜寿・傘寿・米寿・卒寿・白寿など)。現代ではこれに進学・卒業・入社・退社も加えてもいいかもしれない。 人生儀礼が幼児期に集中しているのは幼児の死亡率が高かった名残だ。つまり、その年まで無事に成長できたことを神仏に感謝し、今後も守っていただけるよう祈ってきたのだ。
 今では初参りと七五三、十三参り以外は社寺参拝とは関わりがなくなってしまったが、その日を迎えられた幸せをかみしめる意味でも、社寺を参拝するのは有意義なことといえる。
 社寺の行事に合わせて参拝するというのもお勧めだ。そういう日でしか拝見できない儀礼とか飾りつけなどもあるからだ。行事の中には神職や僧侶だけで行われ参列できないものもあるが、行事の日は境内もきれいに掃き清められており、清々しい緊張感を感じることができる。

社寺の行事でもある「節分」 2021年は124年ぶりに2月2日

 

【暦の上での「吉日」も参拝日和】
一粒万倍日 月に4~7日 
天赦日 年に4~6日
*2021年に両方が重なる「大吉日」は3度訪れる(1月16日・3月31日・6月15日)
「一粒万倍日」は一粒の穀物から1万粒収穫できる日の意味で、富が増える日とされる。ただし、暦上の他の吉日・凶日と重なると効果が倍増したり半減したりするという。「天赦日」は天が罪を許す日とされ、これが一粒万倍日と重なる日は大吉日とされる。

『一個人』2021年冬号より抜粋)

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渋谷 申博

しぶや のぶひろ

日本宗教史研究家

1960年東京都生まれ。早稲田大学卒業。
神道・仏教など日本の宗教史に関わる執筆活動をするかたわら、全国の社寺・聖地・聖地鉄道などのフィールドワークを続けている。
著書は『聖地鉄道めぐり』、『秘境神社めぐり』、『歴史さんぽ 東京の神社・お寺めぐり』、『一生に一度は参拝したい全国の神社』、『全国 天皇家ゆかりの神社・お寺めぐり』(G.B.)、『神社に秘められた日本書紀の謎』(宝島社)、『諸国神社 一宮・二宮・三宮』(山川出版社)、『眠れなくなるほど面白い 図解 仏教』(日本文芸社)ほか多数。

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