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難関大学合格へ導く教師が、生徒にかけている言葉

【ゆとりからアクティブ・ラーニングまで】教育改革の9割が間違い 第7回

2020年教育改革の目玉とされている「アクティブ・ラーニング」。従来の詰め込み式教育をやめて、生徒による主体的な学習へと転換させるものだが、はたして効果はあるのだろうか。2017年10月に『教育改革の9割は間違い』を上梓する諏訪哲二氏に聞いた。 

◆生徒の受験を親身に考えない

 生徒の進路指導はうまくいき、文系クラスの39名中浪人は2人しか出なかった(文系クラスは全7クラスで浪人は計47名だった)し、ほぼみんな第一希望校へ入った。私自身うまくいったと思っていたが、あとで進路指導部の資料が出た際、親しい同僚から「5組はレベルが高かったですね」といわれた。

 生徒がよく勉強しているのはわかっていたが、担任のせいでないことはいうまでもない。学年の解散旅行の懇親会でもいったのだが、何しろ私は生徒に「勉強しなさい」といったことがない(ついでにいえば、自分の子どもにもいったことがなかった)。

 私の教師としての癖のようなものである。補習も私的にはやったことがないし、宿題も出したことがない。進路の話といえば、個人面談で「どこを受けたらいいか」のサジェッションをしただけである。受験校では生徒の希望のひとつ上のランクを狙わせた。上のランクのほうが、大学のコンセプトがはっきりしているからである。

 先に「担任のせいでないことはいうまでもない」と述べた。担任が叱咤激励して生徒たちをレベルアップさせたのではない。しかし、考えてみればほかの担任たちとの異同はいくつかある。

 まず第一に、私は生徒の受験について親身に考えていないことである。完全に生徒に懸けられた(あるいは生徒が選択する)生徒自身の事業だと見切っている。うまくいこうがいくまいが彼女たちの人生の問題である。親身に考えるのは失礼だ。

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諏訪 哲二

すわ てつじ

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~プロフィール~

1941年千葉県生まれ。「プロ教師の会」名誉会長。作家。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年3月に定年退職。「プロ教師の会」は、80年代後半に反響を呼んだ『ザ・中学教師』シリーズ(宝島社)をはじめとして、長年にわたり教育分野で問題提起を続けている。著書に『なぜ勉強させるのか?』『間違いだらけの教育論』(以上、光文社新書)、『オレ様化する子どもたち』『「プロ教師」の流儀』(以上、中公新書ラクレ)など。


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  • 諏訪哲二
  • 2017.10.10