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民間企業ではありえない、校長先生と一般教員の不思議な力関係

【ゆとりからアクティブ・ラーニングまで】教育改革の9割が間違い 第5回

2020年教育改革の目玉とされている「アクティブ・ラーニング」。従来の詰め込み式教育をやめて、生徒による主体的な学習へと転換させるものだが、はたして効果はあるのだろうか。2017年10月に『教育改革の9割は間違い』を上梓する諏訪哲二氏に聞いた。 

一般のビジネスマンのような「上司と部下」の関係とはひと味違う。

◆教師から尊敬されない校長

 下世話な話になるが、私が出会った高校教師のほぼ全員が、校長を好いても尊敬してもいなかった。その点は、管理職志望の出世主義者も同じである。自分の校長の悪口や陰口を叩かない教師はほぼゼロだった。

 これが私には若いときから不思議でならなかった。私は若いときは左翼だったから、文部省(当時)・教育委員会の手先のような存在である校長は、はなから好きになれなかった。

 しかし、そういうイデオロギーに関係ない人も、当の校長よりずっと品性下劣に思える教師も、おしなべて校長を悪くいうのである。

 校長にも多様な人が居る。いい人も変な人も、色々居る。たまには校長に好意を持つ人が居てもよかろうと思うのだが、中々そういう人は居ない。

 それはきっと「行政のちから」が自らを中心として学校は回っていると考えているからであろう。言葉の端々にどうしても校長の本音が出てしまうのだ。そこに「教師のちから」が反発するのではないか。

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諏訪 哲二

すわ てつじ

教育界に携わる人間、必読の書。

教育改革の9割が間違い』2017年10月6日(金)配本!



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~プロフィール~

1941年千葉県生まれ。「プロ教師の会」名誉会長。作家。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年3月に定年退職。「プロ教師の会」は、80年代後半に反響を呼んだ『ザ・中学教師』シリーズ(宝島社)をはじめとして、長年にわたり教育分野で問題提起を続けている。著書に『なぜ勉強させるのか?』『間違いだらけの教育論』(以上、光文社新書)、『オレ様化する子どもたち』『「プロ教師」の流儀』(以上、中公新書ラクレ)など。


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  • 諏訪哲二
  • 2017.10.10