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信長は丹羽・柴田と並ぶ扱いだった!?

大間違いの織田信長⑩ 福沢諭吉は秀吉を評価した!!

戦後民主主義のヒーローとしての信長の真実の姿は歪められている?真実の信長像を知ることで、新たな日本史の歴史観が構築される! 気鋭の保守の論客倉山満が挑む新境地! .絶賛発売中の『大間違いの織田信長』(KKベストセラーズ)を上梓した、倉山満氏が人間信長の魅力に迫る!

福沢諭吉は秀吉を評価した!?

 明治時代に移りまして、人気ナンバーワンは、やはり秀吉です。

 明治を代表する人物に、福澤諭吉というとてつもない大ベストセラー作家がいました。当時で三百万部ぐらい売っていたらしいのですが、これを今の感覚に直すと、常時一千万部が当たり前の、ヒットすれば三千万部売れる作家だったと思ってください(あやかりたい)。そしてご存じの通り慶應義塾大学の創設者でもあります。明治第一のオピニオンリーダーである福澤の思想を一言で言うと、「秀吉は偉い」です。慶應義塾の関係者には申し訳ないですが、その一言に尽きます。

 福澤先生にかかったら、信長など柴田勝家や丹羽長秀と同格です。天下人・秀吉の前の、「並び大名」にすぎません。

 

喜多川歌麿が描いた柴田勝家

 

丹波長秀

 では、なぜ秀吉が偉くて、明治の庶民にウケたかというと、二つの理由があります。

 一つは、立身出世です。江戸時代は士農工商の身分のままでしたが、明治は勉強すれば偉くなれるという立身出世の時代、というのが当時のイメージです。良くも悪くも、勉強は出世のためのものでした。言ってしまえば、慶應義塾って、そのための学校だったような気もします。

 もう一つは、大陸雄飛です。朝鮮半島の危機に対応するには江戸幕府ではダメだと言ってできたのが明治政府ですし、清やロシアから攻められる前に日本側から朝鮮半島に出ていって勝ったのが日清戦争と日露戦争ですから、豊臣秀吉の大陸進出がウケたわけです。

 明治時代が求めていた立身出世と大陸進出の両方をやった人物だから、秀吉は明治以降も英雄であり続けたのです。

『大間違いの織田信長』(著・倉山満)より構成〉

明日は『戦後突然ヒーローになった信長』

大間違いの織田信長⑪戦前に信長を評価したのは、たったの三人!? です。

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倉山 満

くらやま みつる

憲政史研究家

1973年、香川県生まれ。憲政史研究家。

1996年、中央大学文学部史学科国史学専攻卒業後、同大学院博士前期課程を修了。

在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を務め、2015年まで日本国憲法を教える。2012年、希望日本研究所所長を務める。

著書に、『誰が殺した? 日本国憲法!』(講談社)『検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む』(光文社)『日本人だけが知らない「本当の世界史」』(PHP研究所)『嘘だらけの日米近現代史』などをはじめとする「嘘だらけシリーズ」『保守の心得』『帝国憲法の真実』(いずれも扶桑社)『反日プロパガンダの近現代史』(アスペクト)『常識から疑え! 山川日本史〈近現代史編〉』(上・下いずれもヒカルランド)『逆にしたらよくわかる教育勅語 -ほんとうは危険思想なんかじゃなかった』(ハート出版)『お役所仕事の大東亜戦争』(三才ブックス)『倉山満が読み解く 太平記の時代―最強の日本人論・逞しい室町の人々』(青林堂)『大間違いの太平洋戦争』『真・戦争論 世界大戦と危険な半島』(いずれも小社刊)など多数。

現在、ブログ「倉山満の砦」やコンテンツ配信サービス「倉山塾」(https://kurayama.cd-pf.net/)や「チャンネルくらら」(https://www.youtube.com/channel/UCDrXxofz1CIOo9vqwHqfIyg)などで積極的に言論活動を行っている。

 

 

 

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