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【元芸人・作家の松野大介】「濃厚接触アプリがスタート!コロナビジネスと監視社会」緊急寄稿!

コロナ騒動を悪用するテレビ、ビジネス、世界

■アフターコロナで生活様式が変わる

 だいたい「アフターコロナ」という呼称が、仮に「終息」しても、コロナ騒動前の生活・経済形態に戻す気がない証だ。私は感染対策がすべて不必要と言っているのではない。軽症が5~8割とか、子供は無症状者が多いとか、29歳以下の死亡者は数名とか、死亡者の多くは高齢者か持病を持つ人という科学的な統計は、視聴率を稼ぎたいワイドショーやニュース報道だけでなく、コロナを利用したい層によりテレビで封印されがちに見える。ほとんどの人が未だにインフルエンザの去年の関連死までの死亡者数が1万人であることを知らないままに、異様な生活様式が定着していくことがおかしいと考えている。

 6月上旬、あるジャーナリストのブログで見つけた、大手新聞の大学教授の記事の引用(要約?)が興味深かった。 「現代日本では、『医学的な要請を道徳的要請と捉え、無意識のうちに倫理観として内面化しつつある』」。
 私の解釈では、非常時での国や自治体やメディアからの要請は、一般的に国民に医学的な対策を超えて「絶対守るべきもの」と認識させてしまう。これは暑い日や人がいない場所でもマスクを外すのをためらう行動に表れている。「世間の目」を気にするだけでなく、道徳的な規律となっているのだ。すごく日本的。

 それに加え、自分が担う職場や店や学校から感染者を出すとテレビで名指しされ、「悪」と見なされる。死亡者ではなくウイルス性の風邪の感染者をひとりも出さないという奇跡をやり遂げるため、熱中症死亡のリスクを無視してマスクを強いてきたのだ。
 ビジネス絡みと誤った倫理観で《新しい生活様式》がエスカレートすれば、「個」を分断させることになる。流行時、日本も外人を入れず、次に都道府県の行き来を制御。ここまでは対策のためだった。

 次に全てのウィルスや菌を受け付けないほどにマスクや衛生商品、手洗い・うがいが徹底された。消毒液が噴射される場所も好意的に報じられた。まるで「無菌」化。
 続いて、人と2メートルの間隔を空けたり、レジや受付のビニールシートやアクリル板で人と接する機会を少なくする「無近」策が広まった。「出歩かない」「近づかない」「話さない」等。
 国の分断、都道府県の分断、そして無菌人と同時に、「無近人」へ。これは「個」の分断につながり、監視社会強化に都合がいい。

■コロナ騒動の悪用の2つめは、監視強化

 専門家ではないのであくまで私的に、「感染拡大の流れと世界の動き」を振り返る。中国で新型コロナが発生した頃は、インフルエンザ程度の能力と考える専門家がいた(結果的にもエボラ出血熱などの致死率が50%以上の殺人ウイルスではなかった)。
 しかし欧州や米国では感染は速かった。過剰なグローバル社会で、人(物流や観光含む)の行き来が多すぎたことが原因だと「後に」多くの人が指摘。坂本龍一氏は「行き過ぎとも言える地球規模の都市化」と述べた(「琉球新報」6/11)。

 感染力が高いなら殺人ウイルスの可能性があり、都市封鎖という前代未聞の対策がとられた。3月時点では、急速なグルーバル社会拡大の影響を考慮しにくかった。
 EUから財政の健全化を求められ、緊縮財政策で医療を縮小したイタリアは医療が崩壊(人の命より財政健全化を優先するのもグローバリズムの1つ?)。

 4月、コロナ感染者の医療に従事した米国の医師には、「感染は速かったが、致死率は大したことなかった」と延べる人もいた。無症状の人が多いのも理由の1つ。
 だがそのような見解より、メディアの論調は「ステイホーム」。人の行き来と同様に、ネットを含むマスコミの量も過剰に増加。発信側が増えると、マスコミ人はみんな仕事が出来るように無意識的に1つの大ネタを煽って引っ張る性質がある(「マスコミの共存本能」と私は呼ぶ)。

 ウィルスと同時進行で、情報が世界を席巻し、人々は振り回された。コロナ感染が速かった理由がグローバル社会なら、コロナ騒動が広まったのはウィルス化した情報社会のパンデミック。そこに、世界規模の資本主義が加わる(ビジネスデミック?)。
 保護主義のトランプが大統領になったり、英国がEU離脱したりとほころびが見えたグローバル社会に関し、欧米には、今回の行き来の制限が、グローバリズムから脱却するヒントになったと考える国もあったかもしれない。

■グローバリズム社会からの脱却

 単純に「膨大な人が国をまたいで行き来するともっと恐いウイルスの場合、惨事を防げない」と考えたろう。
 近い国・友好国など少ない国との関わりでもやっていける模索が始まり、最近は国内旅行を推進する欧米国の動きや、経済的なつながりが深く近い国同士で往来を「感染対策した上で」認める方針などがあるという。《経済様式》の変化を始めたようだ。

 もう1つ、国々はこうも考えたと推察する‥‥経済で国家を強くするためにも、単に国民を管理するためにも、コロナに乗じて監視を強化できないか?
 フランスは身近に感染者がいるのを知らせる感染対策アプリが議会で承認。テレビでは仏国民が「データが他のことに使われるかもしれないし追跡されたくないのでダウンロードしません」と答えていた。
 日本でも感染者追跡アプリの開発に急ぎ、6月19日よりダウンロード開始。英国、米国、韓国、中国‥‥国を上げての追跡アプリが、一時期の監視カメラのように普及する勢いだ。

 日本では特別給付金のためにマイナンバーと口座番号の「紐付け」が提案され、国民の反感を買い、全部の口座ではなく「まず1つ」の口座から、と軌道修正した。コロナとは無縁だが、5月下旬、スーパーシティー法案が成立。納税、病気、購買歴、位置・移動など個人情報が一元化される恐れがあるものだ。
 欧米の人々はコロナ対策に乗じて監視が強まることに抗がっているようだ。その様子は日本では報道されないだろうが‥‥。

■日本では「無菌」化から「無近」化へ

 日本では、「国」が、「国民」を一括するのに「無近」策が役立つかもしれない。
 例えば大災害が起きた時、被災者たちが身を寄せ合い、「力を合わせてがんばりましょう」と生まれる絆は、輪になって手を繋ぐ横のつながりの「結束」だが、国が国民を束ねる場合は人々を分断し、国が上からA君、Bさん、Cちゃん、D君‥‥とひとりひとりと繋がる上下の関係、つまり蜘蛛(国)と、蜘蛛の糸の1本ずつに繋がれた人々という図式で、国民を結束させるものだと私は考える。
 私見だが、結束主義(ファシズム)では個人の繋がりを断ち切り、国(独裁者)がひとりひとりと繋がるほうが、人々を1つの倫理観で束ねやすいのではないか。今、個人を分断する象徴的な事象が、学校や店で人々の間に置くアクリル板だと思う。「人となるべく話をしないように」「人と距離をとるように」‥‥そして「ひとりひとりが先生や国やメディアの話を聞くように」‥‥。

 その結果〝あの人はコロナじゃないか〟と身近の人に疑心暗鬼になるのがわかりやすい変化だ。米軍の戦闘機に竹槍で闘おうと結束した時の空気に、少し似ているかもしれない。「暑ければマスクしないほうがいいと思いますけど」と言ったら、「竹槍では勝てないと思いますけど」と言った時のように「非国民」と見られるのか。
 コロナ対策という名目で個が分断され、監視社会が進む‥‥この予想が外れることを願うが、新型コロナが変質し、今秋に季節性となって再上陸した時、ウィルスだけでなくインフォデミック、ビジネス利用、監視化にも警戒したい。日本の報道が批判精神をなくし、視聴率をとるだけのバラエティー化したままだと、コロナ人災を生み続ける。

 

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

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