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「痛み日記」が教えてくれる、あなたの「痛み」が治らない本当の理由

痛みの専門家•伊藤和憲先生が伝授する「痛みのセルフケア」<12>

「病院に行っても悪いところが発見できなかった」「もう何年も痛みが続いている」という慢性痛患者に、薬や手術に頼らないセルフケアを説く「痛みの専門家」伊藤和憲先生。『慢性痛は自分で治せる!』を刊行した、伊藤先生に「あなたの痛みが治らない理由」を聞く。

「痛み日記」を付けて
自分の「痛み」の特徴をつかめ!

 痛みを長い期間感じていると、脳が痛みに敏感になってしまい、少しの痛みでもかなりの強さで感じ取ってしまうのが慢性痛の恐さです。しかも、その痛みは天気や気温の変化、ストレスや環境など、様々な要因が影響して大きく変化するのが特徴です。慢性痛を抱えていると、何をしても、どんなときでも痛みが出そうな気がして、常に不安を感じている人も多いはずです。

写真を拡大 痛みが変化する要因は様々で、人によって大きく異なります。一般 的には、天気や気候変化、睡眠時間、食事、気分、環境、労働など。 「痛み日記」を使って、自分に起こっているイベントや考え方など を整理し、痛みとの関係を導いてみましょう! 痛みが悪化した日、調子がよい日を基点に前後1~2日を確認。共通点があれば、それが要因かもしれません。

 この「痛み日記」は、そういった自身の痛みの状況を客観視して、痛みとの付き合い方を見つけるための方法です。
 「痛み日記」で毎日、確認したい項目は、「日付」「天候」「起床時間」「就寝時間」「痛みの強さ」「イベント」「今日感じたプラスの感情」「今日感じたマイナスの感情」「その他=食事回数や内容、運動や外出の有無など」など。
 まずは、自分の痛みがどのような要因で変化するのかを日記に毎日付けてみましょう。天気や起床・就寝時間、その日のイベントはもちろん、その日に感じた正の感情(よい感情)と負の感情(悪い感情)も必ず書くようにしましょう。 例えば「痛みの強さ」の項目は、痛さの度合いを10段階で記していきます。この日記では 「1」(痛みが弱い)→「10」(痛みが強い)としています。痛みの感じ方は人それぞれですから、自分のなかで、「1」から「10」までを決めればよいです。
 そして、痛みが「強い日」と「弱くなった日」を比較してみてください。

 例えば、○月×日に、「痛みが悪化」していることに注目してみましょう。この日は、イベントもなく、正の感情がありません。また、前日も「就寝
時間が遅く」「将来を不安」に感じています。このことから、就寝時間や負の感情が痛みを悪化させているのでは、と考えます。
 また、「痛みが軽減」している○月×日に注目。この日の特徴は、「友だちに会った」など正の感情です。また、前日は「就寝時間が早い」ことも特徴。こうしたことが、痛みを軽減させているのでは、と考えます。

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伊藤 和憲

いとう かずのり

明治国際医療大学教授。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。大阪大学医学部生体機能補完医学講座特 認研究員。1972年生まれ。2014年4月、厚生労働省の科学研究費を得て「慢性痛患者のためのセルフケアガイドブック」を作成。明治国際医療大学京都桂川鍼灸院「mythos361」 院長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導。また、地下鉄サリン事件やJR福知山線脱線事故の被害者の「痛み」ケアにも当たっている。専門家や一般市民に向けて年に50回以上の講演を行なっている。


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  • 伊藤 和憲
  • 2017.01.21