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長年の「痛み」が軽減するマインドチェンジ

痛みの専門家•伊藤和憲先生が伝授する「痛みのセルフケア」<11>

「病院に行っても悪いところが発見できなかった」「もう何年も痛みが続いている」という慢性痛患者に、薬や手術に頼らないセルフケアを説く「痛みの専門家」伊藤和憲先生。『慢性痛は自分で治せる!』を刊行した、伊藤先生に「あなたの痛みが治らない理由」を聞く。

ポジティブシンキングが痛みの特効薬
考え方を変えるだけで痛みが軽減される

 

 「痛み」にとって、ストレスは大敵です。なぜなら、ストレスの蓄積が痛みを悪化させてしまうから。そのためにも、毎日を快適に心地よく過ごせるようなストレスをためない考え方、つまりは肯定的なイメージを持つ考え方を意識し、心身の安定化を図ることが大切です。

 例えば、来週の友人との食事会に、その友人が初対面の人を連れてくるという連絡があった場面を想像してください。
「せっかくの機会だし、ぜひ友だちになりたいな!」と肯定的なイメージがあれば、とてもワクワクとした高揚感を感じ、その日が来るのが楽しみになるはずです。   
 しかし、「初対面の人は気を使うし、できれば会いたくないな」といった否定的なイメージを持てば、不安で落ち着かなくなり、当日を迎えるまで憂鬱な気分が続くことでしょう。食事会に集まったメンバーは同じであっても、考え方一つで気分は大きく異なります。肯定的な考え方は気持ちを楽にさせ、ストレスに対応できる心の状態をつくりだせますが、否定的な考え方は、それがきっかけとなってストレスを引き起こしてしまいます。
 そんな風に私たちが毎日の生活で生じる「気持ち(感情)」や様々な「振る舞い(行動)」は、考え方次第でよい影響も悪い影響も出てしまうのです。だからこそ、何事もポジティブに考えることが大切なのです。

 しかし、そう頭では理解していても否定的なイメージが湧いてきたなら、それ以上考えずに、そのままにしておくこと。考えても、すぐに解決方法が出てくるとは限りません。それでも、そのままにできない場合は、否定的なイメージを「川を流れる葉っぱに乗せて流す」ところを想像し、さらに悪い方向へと考えがいかない練習をしてください。否定的なイメージを考えないようにすることは難しいので、考えてしまっても放っておくことがなによりも大切です。
 また、苦痛な考えばかりが出てきてしまうのなら、心を落ち着かせる方法として、瞑想やヨガ、呼吸法を取り入れてみるのもおすすめです。瞑想による精神統一や、ヨガ独自のポーズ、呼吸法などは、意識を体に着目することで心身のバランスを整えることができ、週1回、60〜120分行なうことで、痛みが改善したという報告もあります。

『慢性痛は自分で治せる!』より構成

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伊藤 和憲

いとう かずのり

明治国際医療大学教授。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。大阪大学医学部生体機能補完医学講座特 認研究員。1972年生まれ。2014年4月、厚生労働省の科学研究費を得て「慢性痛患者のためのセルフケアガイドブック」を作成。明治国際医療大学京都桂川鍼灸院「mythos361」 院長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導。また、地下鉄サリン事件やJR福知山線脱線事故の被害者の「痛み」ケアにも当たっている。専門家や一般市民に向けて年に50回以上の講演を行なっている。


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