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「終わった人」橋下徹の首相待望論をブチ上げるプレジデント本誌が導く永田町百鬼夜行

【連載】「コップの中の百年戦争 ―世の中の不条理やカラクリの根源とは―」

■コロナ対策で感染症問題も経済問題も山積する中、突然沸き起こる橋下徹待望論の謎

橋本徹
橋本徹氏(写真/アフロ)

 

コロナ自粛騒ぎでにわかに東京の空気もクリーンとなり、普段着慣れたスーツを脱いで子どもたちと毎日ジョギングに精を出す私の元に「なんかクソ記事が流れてきたんですけど」という急報が入りました。

汗を拭きながらアクセスしてみると、出た汗が全部引っ込むぐらいに興味深くも面白い記事じゃないですか。

https://president.jp/articles/-/34737

タイトルからして「これが対コロナ最強布陣『橋下総理、小池長官、吉村厚生相』 もう安倍に政権を任せるのは無理だ」ですよ。何やこれは。こんな狂った記事、当の橋下徹さん本人でも顔赤くして言わないでしょ。

さらには、5月に入って「橋下徹上げ」「安倍晋三下げ」や、愚かな施策を連発する官邸の体たらくを腐しつつ維新をヨイショする記事が立て続けに掲載され、堂々とヤフーニュースなどで配信されているんです。なんだこれ。どういうことなんだ、これは。

『安倍晋三に絶望…自然発生的「吉村総理」待望論、強まる もうこの政権はあかんわ、いてまえ』
https://president.jp/articles/-/35246

『橋下ゴジラvs吉村ガメラ、日本を救う「総理」はどっちだ! 責任感ゼロの安倍晋三にもう限界だ』
https://president.jp/articles/-/35329

いや、まあ記事の内容は面白いんですよ。プレジデント誌の編集長・小倉健一さん、大の特撮ファンだって言うじゃないですか。実際、安倍晋三さんやその周辺の人たちが連発しているコロナ対策って、どうにもイケてないものが多いのも事実ですからね。ただ、だからといって何の関係もない外野に過ぎない橋下徹さんを持ち上げる理由は、本来、特にありません。

 

要するにこれらのプレジデントの記事、良い意味で橋下徹さんや小池百合子さんシンパのための売文記事ですよね。コロナ対策で独自のリーダーシップを勝ち取った大阪府知事・吉村洋文さんと、東京都知事・小池百合子さん。どちらも強いコロナウイルス対策を促す知事として、右往左往しているように見える官邸の主・総理の安倍晋三さんに強い注文を付けた、という意味において。まあ、目立ちますからな。

『吉村洋文府知事大活躍! 橋下徹さん首相待望論まで出た「維新の会」は、これから力を増していくのでしょうか?』
https://youtu.be/28HqWv5Q62c

 

もちろん、小池百合子さんに関しては築地から豊洲への市場移転問題で建築エコノミストを自称する森山高至さんや共産党方面に担がれて、うっかり「立ち止まって」しまった人です。さらには、新国立競技場問題でも方針を二転三転させて、亡くなった世界的建築家ザハ・ハディッドさんの建築設計をキャンセルし台無しにするアシストをして、私たちの血税である国税都税を三桁億単位でおおいに無駄遣い。挙句には、東京オリンピックのホスト都市であるにも関わらずさしたるリーダーシップを発揮できずに東京オリンピックの開催延期では途中まで意志決定から外される体たらくでした。

それでも「独断専行」「根回し無用」の小池百合子さんにとっては「コロナウイルス対策」という絶好の機会がやってきて、かき集めた都税を大盤振る舞いすることでまるで信長の野望で民に施しをして民忠誠度を上げる策に打って出ました。自民党幹事長・二階俊博さんとも握って自民党都連を黙らせてしまって、どうも自民党は次の都知事選では刺客候補を立てられないらしいです。あらまあ。

 

一方、大阪府に関して言えば、コロナウイルス以前に大阪の医療体制を削減した前々府知事の太田房江さんと、それ以上に予算を削減して「大阪府の財政削減を進めた張本人」が『大阪維新』時代の政治家・橋下徹さんですね。大阪の財政がアカンのは仕方がないとして、その財政立て直しの名目で医療資源を削減して、コロナ対策を一時的に大変なことにしてしまった張本人が橋下徹さんとも言えるわけですよ。もちろん、橋下徹さんもいまとなっては反省しておられるようですが、まあ、まさかこんなことになるなんて思ってもいなかったでしょうしね。

で、その医療リソースの不足でコロナ患者が溢れ返る前にどうにかしなければならない、とばかりに、これらの失政の尻拭いをするために大見得をバンバン切っているのが現大阪府知事の吉村洋文さんです。立場的にはしょうがないよね。確かに彼はイケメンだし見栄えするので、個人的には良いブレーンがきちんとつけば化けるのかなという期待感も持っている一方、目立つ割にはまだ具体的に何か為したわけでもないのは割り引いて冷静に考えるべきかなとも思います。そのうち検証記事でも誰か書くかもしれませんけど、期待度ありきでネットメディアでどんどん名前を売り、勇ましいことを言って話題になり支持を集めるというのは興味深い現象です。まるで橋下徹さんが鮮烈デビューした直後のように。

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山本 一郎

やまもと いちろう

著作家、ブロガー、投資家、経営者

1973年東京都生まれ。著作家、ブロガー、投資家、経営者。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2000年IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作を行うイレギュラーズアンドパートナーズ株式会社を設立。著書に『情報革命バブルの崩壊』『俺様国家中国の大経済』『ネットビジネスの終わり』ほか。   ブログ「やまもといちろうオフィシャルブログhttps://lineblog.me/yamamotoichiro/  

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