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新井恵理那に田中みな実、女子アナ30歳限界説を覆すフリーアナたちの下克上

強さを内に秘めつつも優しく可憐であり続ける女たち

■タレント番組出演本数ランキング獲得、写真集がベストセラー…30歳を超えピークを迎えるフリー女子アナたち

田中みな実
写真:Pasya/アフロ

  

 女子アナ30歳定年説。かれこれ30年以上、テレビ業界で言われてきたことだ。彼女たちは大学を出てデビューするのがだいたい22~23歳だから、そこから7、8年もすれば、若さも可愛さもうすれ、旬が終わる。実際、水卜麻美(33歳)にせよ、三田友梨佳(32歳)にせよ、ピークを過ぎた感は否めない。

 そんななか、三十路に入ってから再浮上を果たしたのが田中みな実(33歳)である。かつてのぶりっこを「あざと可愛い」にアップグレードして、写真集を出したり、女優をやったりしている。また、新井恵理那(30歳)は昨年上半期の「タレント番組出演本数ランキング」女性部門で不動の女王・ハリセンボン近藤春奈を抜き、トップに立った。この春からは「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)のメインMCに内部昇格するなど、テレビで顔を見ない日はない状況が続いている。

 このふたりに共通するのは「フリーアナ」だということ。じつはここ数年、女子アナの世界では局アナよりフリーアナのほうが元気がいい。そのバロメーターといえるのが、玉の輿率だろう。

 いつかファーストレディになるかもしれない滝川クリステルに、夭折したが未来の人間国宝候補と結婚した小林麻央、さらに国民的アイドル・二宮和也や、大リーガーの前田健太や菊池雄星を射止めたのもフリーアナだ。かつて局アナが芸能界やスポーツ界、政界の大物を次々と落としていたことを思うと、すっかり取って代わった感がある。

 また、フリーアナには30代後半以上になってもアイドル的人気を保ち続ける人がいる。皆藤愛子(36歳)はもとより、唐橋ユミ(45歳)にいたっては時間を超越している感じだ。関口宏らオヤジサポーターに支えられ、4月1日には歌手デビューも果たした。とまあ、フリーアナはいまや「30歳定年説」を覆す勢いなのだ。

 これはいったい、どういうことなのか。ひとつには、局アナと比べて、疲弊しにくいという利点がある。局アナの場合、優秀であればあるほど酷使され、使い減りしがちだ。その点、生粋のフリーアナなら、世に出るのも時間がかかるし、出ずっぱり状態にはなかなかならない。ある程度は仕事も自分で選べるから、お天気お姉さんを数年やってから、キャスターへという、新井・皆藤パターンでじっくり攻めてもいける。そのあいだに国民的アイドルや世界的アスリートを籠絡することも可能というわけだ。

 それゆえ、キー局の局アナも早めに独立してフリーになるケースが増えた。田中がTBSをやめたのは「定年」3年前の27歳のとき。再ブレイクできるだけの余力を、充分に残していたといえる。

 「局アナとして10年後の自分の立ち位置が見えなかった。20代のうちになにかできることはないか」

 というのが、独立にあたってのコメントだ。彼女はこの選択により、局アナ時代以上の名声を得た。

 そしてもうひとつ、局アナという存在そのものが飽きられたという事情がある。そもそも、局アナがアイドル化したのは80年代末、本家のアイドルが冬の時代を迎えた時期だ。本家が男性ファンに媚びるより、オシャレなCMなどで女性ウケを狙うようになったため、その穴をグラドルとともに埋めたのが、当時「アナドル」などとも呼ばれた局アナだった。

 フジテレビ三人娘に日本テレビの三人組DORA。彼女たちはバラエティにも出たし、CDまで出したりした。なかには「スーパーJOCKEY」(日本テレビ系)で熱湯CMをやらされかけた人もいる。「ランク王国」(TBS系)で進藤晶子が披露したセーラームーンコスプレなどもなかなかエグかった。それこそ「芸能人水泳大会」のような文化がすたれるなかで、アイドルが本来持っている「やらされてる感」的なエロスをふりまいたのである。

 いや、その魅力はある意味、本家以上だったかもしれない。OLでもある高学歴の美女たちがいじられ、若さを消費される姿はその期間限定性もあいまって、男心をくすぐり、女心を苛立たせることに。こうして局アナはひとつの文化となったわけだ。

 ただ、文化になってしまうと、その当事者は自覚的になりがちだ。なかには、どうせ30歳までなのだからと、そのあいだを腰掛けのようにして、婚活目当てで局アナになる人も出てきたりして、局アナのエロスは予定調和なものに変わっていった。

 

次のページ新たな勢力として登場するのがフリーアナである

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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