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突然の背中の激痛は、腰痛じゃなく重大な病の危険性あり

上半身の危険シグナル その症例&正しい対処法

背中痛

 

 診断が難しいケースが多いので定期検査で早めに対処しよう
 腸の後ろの臓器のシグナルは、背中に現れることが多い 

 背中の痛みは、かなりの確率で重大な病のシグナルであることが多い。 「その一つが大動脈解離です。上行大動脈の場合は胸ですが、下行大動脈が解離したり破裂したりすると、背中に耐えられないほどの激痛が出ます」。
 大動脈解離は、実は下行大動脈に起こるほうが多いのだという。 「後腹膜臓器と呼ばれる膵臓や腎臓、十二指腸などの病気は背中側が痛みます。特に急性膵炎は発症の仕方が特徴的で、脂濃いものを食べた翌朝に〝キング・オブ・ペイン〟と呼ばれるほどの激痛になります」。これはたんぱく質を分解する膵液が、自分の細胞を破壊するから。日頃から脂っぽい食事が多い人は、これからは控えたほうがよいだろう。
「尿路結石も同じような背中の痛みで、痛む場所が移動します。また、高熱を伴うなら腎盂腎炎を疑う必要がある。腸の後ろにある臓器は診断が難しいので、腹部エコーやCTスキャンなどで、定期的に検査しておくことが、早期発見のポイントとなります」。人間ドックを受ける機会があるのなら必ず受診して、臓器の状態をチェックしておくのが予防になる。

危険な「背中痛」チェックリスト
□暴飲暴食、飲み過ぎ後に激しい痛み
□痛みの場所が移動する
□かつて経験したことのない痛み
□高熱を伴う痛み

 暴飲暴食や過度の酒飲を控えることが急性膵炎を防ぐ。水分不足の時、移動する痛みは尿路結石、高熱を伴うのは腎盂腎炎の疑い。
 

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森田 豊

もりた ゆたか

医師・医療ジャーナリスト

医学博士。秋田大学卒業後、東京大学大学院医学系研究科を修了。東大病院助手やハーバード大学専任講師の他、いくつかの大病院で医長や部長を務めた。診療科を問わない医療解説や問題に取り組む現役医師、医療ジャーナリスト。


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