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首を温めると
ぐっすり眠れる5つのワケ

「深睡眠」へと導く自律神経の効能とは?

人体にとって重要な神経が走る首を温めるとほっと気持ちがよくなり、副交感神経を刺激、「深睡眠」にいざなう。そんな自律神経の効能について、専門家に話を聞いた。 

 

首の血流をよくして
自律神経を安定させる 

 リラックスした深い睡眠を毎晩、満喫したいと思うものの、寝つきが悪かったり、夜中に目が覚めたり。睡眠にトラブルを抱える人は少なくない。
 自律神経研究の第一人者として知られる順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんは、首を温めて副交感神経を活性化させることが不眠解消につながると説く(雑誌『一個人』2017年2月号取材時)。

 「私自身もよくやるのですが、熱い蒸しタオルを10分間ほど首に巻くとすごく気持ちがいいし、体調もよくなる。また寒いときに厚手のオーバーを着るより、マフラーを巻く方が温まる。これは誰でも実感することですが、考えてみれば不思議ですね。胸や背中を温めてもいいのに、なぜ首なのか。
 首には脳と体幹をつなぐ太い血管があって、手指で押すと、脈動に触れることができます。同じように太くて大切な血管である腹部大動脈はおなかの中にあるので触れませんが、首なら皮膚のすぐ下にある。ですから、ここを直接温めることで血流が速やかに活性化します。その結果、副交感神経の働きがよくなり、自律神経が安定する。日頃の生活でパソコンや携帯をやり過ぎてコリ固まった首が緩み、快眠のリズムができるのです」。

 約4〜6キロもある大きな頭を日々支える首には、すべての内臓機能の働きを正常に保つ迷走神経、交感神経が集まっている星状神経節があり、全身のバランスを整える重要な役割を果たしている。長時間のデスクワークなどで常に凝っている肩まわりや首の筋肉を緩めると、交感神経と副交感神経の機能が活性化。「深睡眠」はもちろん、免疫力の向上、疲労回復、内臓機能が整い血糖値が下がるなど、さまざまな効果が期待できる。

 「極端な話をすれば、我々医者でも即効性のある首の治療方法などないわけです。しかし首を温めるだけで『あー、気持ちがいいな』と心からリラックスして一瞬で気持ちが切り替わりますし、目の疲れも取れ、明らかに体調の変化を感じる。それだけ価値のあることなのだと思います」。と小林さんは言う。首を温めるという行為は我々が考えている以上に重大な効能があると言えそうだ。  

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小林 弘幸

こばやし ひろゆき

1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。1992年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導にかかわる。著書に『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)『自律神経を整える「あきらめる」健康法』(KADOKAWA)『自律神経が整う時間コントロール術』(小学館)『「ゆっくり動く」と人生がすべてうまくいく』(PHP研究所)など多数。


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