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ロボット革命が起こるまでの、6つのステップ

『意志を持ちはじめるロボット』の世界

知能を持ったロボットは、人類を支配してしまうかもしれない……昨今、この何百年も先の未来予測が議論されています。そのような未来にいたるまでには、段階的に何が起こるのでしょうか? 『意志を持ちはじめるロボット』を上梓したJAXA名誉教授・中谷一郎が見通す「進化のステップ」とは?

爆発的進化=シンギュラリティが起こる

 

 ロボットの進化のステップを近未来から遠い未来まで、整理してみましょう。

①ロボットは工場を飛び出してオフィス、店舗、公共施設、そして家庭も含めて、社会に進出し始める(このようなロボットはソシアルロボットと呼ばれています)。

②一般大衆向けのロボットが出現して、人間のさまざまな活動の手助けをするようになる。工場で活動する専門家向けのロボットに比して、桁違いに安価で個人ベースで使うことができるようになる(これをパソットと呼ぶことにします)。

③パソットは当初、単能作業ロボットとして仕事別に開発され、次第に高度機能化するにしたがって、複数作業をこなすようになる。

④やがてパソットの数は急速に増加して人間の数―つまり人口―を上回る。少子化に悩む日本などの先進国は、労働力としてパソットに頼るようになる。

⑤パソットの機能はさらに高度化していき、人間社会の基本的なインフラとしてなくてはならない存在になる。単なる労働力ではなく、教育、研究、経営、芸術、司法、経済、医療など、高度に知的で創造的な能力が必要な分野でパソットが活躍するようになる。

⑥複数の仕事をこなすパソットが進化して、何でもこなす汎用的なパソットが開発される。

 電気、ガス、水道だけではなく、最近ではすでに社会のインフラとしてのコンピューターや通信網のない世界が考えられなくなってきました。大規模停電で生活が脅かされたり、ネットワークの故障で社会の機能が麻痺したりする現代社会に、もう一つ重要なインフラ要素としてロボットが加わるわけですね。

 そして、ここに述べた⑥以降(2040年代)のステップでは、たとえば世界中のロボットが「全世界ロボット組合」のようなものを作ってゼネストにでも突入したら人間社会は完全に麻痺することは明らかです。いいえ、むしろロボットに虐げられた人間がロボットに反抗してゼネストを打つ方が現実的かもしれませんが。

 このようにロボットが社会の仕組みを大きく変えてしまう変革をロボット革命と呼ぶゆえんです。そして私たちは今、ロボット革命前夜を経験していると言えるでしょう。

 さらに、ここの⑥のステップの先には、何が起こるでしょう? 人間が原始人から現代人のような知能を持ったホモサピエンスに進化するのに、数百万年の年月がかかっています。

 一方、ロボットの進化は数十年という時間スケールでものすごいスピードで進みます。そして、ある時点でロボットが自身の子孫を設計、製造するようになると指数関数的に進化が促進されるでしょう。

 つまり、人間よりも賢いロボットが、さらに革新的なロボットを設計して進化を促進する。そして進化したロボットが、もっと進化したロボットを作り出す。これは、いわゆるシンギュラリティー(特異点)と呼ばれる、爆発的な進化に他なりません。

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中谷 一郎

なかたに いちろう

1944年生まれ。JAXA名誉教授、愛知工科大学名誉教授。1972年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。電電公社電気通信研究所に勤務し、通信衛星の制御の研究に従事。1981年より宇宙科学研究所(現JAXA)に勤務し、助教授・教授を務める。科学衛星およびロケットの制御、宇宙ロボットの研究・開発に従事。東京大学大学院工学系研究科助教授・教授、愛知工科大学教授、東京大学宇宙線研究所客員教授・重力波検出プロジェクトマネージャーを歴任した。


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