長嶋茂雄を超えたキムタク、新時代の芸能人・櫻井翔。そして、SMAPと嵐が国民的になれた理由【宝泉薫】「令和の怪談」(10)
「令和の怪談」ジャニーズと中居正広たちに行われた私刑はもはや他人事ではない(10)【宝泉薫】
とまあ、前フリはこれくらいにして――。今回のテーマへと行こう。SMAPと嵐、このふたつのグループが国民的人気を得ることができた決め手は何か、である。
まず、嵐についてよく言われるのは仲のよさだ。芸能人としての晩年、プロデューサーとして冴えを見せていた島田紳助は09年に自分がMCだった番組でこんな発言をした。
「嵐のどこが人気やねん、と聞いたら、一番は、5人の仲がいい、5人の仲がいいってことによって、パワーが『×5』になってると。そのエネルギーが観てる私たちまで、幸せにしてくれるんだって、ウチのチビが言ってましたけど」
このとき、ゲストだった二宮和也は「他のグループにいたことがない」からよくわからないとしつつ「でも、仲いいっすよー」と返していた。では、他のメンバーはどうか、あちこちから拾ってみると「この楽しそうな雰囲気こそが『嵐の空気』」(相葉雅紀)「平和なところが好き」(大野智)「(芸能界での味方は)4人だけ」(松本潤)「1回くらい、ケンカしてもいいかな」(櫻井翔)などなど、仲のよさを裏付ける言葉が見つかる。
グループ初期には二宮と松本が口をきかない冷戦状態だったという話もあるが、コアなファン以外には知られていないだろうし、仲のよさが彼らの魅力であることは間違いない。
ただ、嵐というグループ名からはちょっとした違和感も。それこそ「名は体を表す」でいえば、KAT-TUNのようにやんちゃでワイルドなグループのほうが「嵐」というグループ名にふさわしかった気もするのだ。
だとしたら、彼らが嵐としてこれほど売れたこと自体にも意味があるのではないか。日本中がイケイケだった昭和の後期、だが、その勢いは平成初頭のバブル崩壊で止まり、若者は閉塞感を抱えながら、平和なつながりを求めて葛藤する傾向が強くなった。そんななか、仲のよさをパワーに変えられる5人がふりまく穏やかな嵐が、心地よい安らぎになっているのではと。
驚くのは、令和の今なお、活動休止中の嵐が高校生世代にもわりと人気だという現実だ。おそらく、若者の閉塞感はまだ続いていて、彼らの安らぎが依然として有効なのだろう。
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