すぐできる! 「手抜き力」を高めるトレーニング<br /> |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

すぐできる! 「手抜き力」を高めるトレーニング

「ポジティブ手抜き」に不慣れな真面目なビジネスマンに贈る、とっておきのヒント。

前回までは、仕事の質を高める手抜き力の意外性と重要性について検討してきました。しかし、いざそのような思考方法に今日からなってみよう!と思っても、なかなかできないもの。そこで、誰もが日常のちょっとした場面で「手抜き力」を鍛えることができるトレーニング方法を紹介したいと思います。これならできそう!というものから、ぜひトライしてみてください。

1.「15秒で伝える」トレーニング

「企画書がわかりにくい」「話が的外れで、何かモタモタしている」……。

自分に対してこんなことを思われているのではないか、感じられているのではないかとふと不安に思ったことはありませんか。

そんなときに助けてくれるのが、ムダを省いて本質だけを抽出する力、言い換えれば「要約力」。要約とは、文章や物事の要点(本質)を見極めて、それを短く簡潔にまとめること。この要約力さえあればあなたの仕事効率は格段とアップします。

その要約力を鍛えるためには「15秒」という時間がキーワード。15秒というと、一瞬短すぎるのではと思うかもしれませんが、この根拠には①テレビCMが15秒という間尺で作られていること、②人間が相手の話を聞くときの集中力は15秒程度しかもたない、ということからも。

では、実際どのようにまとめるか。その手順として、

①キーワードをひとつ、

②最初に結論、

③その理由

これだけを並べれば、本質は効果的に伝えられるのです。

 

2.「ザッと目を通す」トレーニング

 

仕事で膨大な資料を前に、即座に分析しなければならないこともあるかと思います。このとき、時間をかければしっかり読み込めるのに……と思うこと自体もあまりよくありません。

では、どう対応すればいいのでしょうか。

20枚ほどの資料があるとします。私の場合は、赤や青のボールペンを使って、見出しや重要と思われるキーワードに印を付けていきます。資料1枚に適当にマークしてめくるのに約5~10秒ぐらいのスピードですから、読むというよりはまさに「ザッと目を通す」という作業。

1枚に5秒なら20枚で100秒。1枚10秒でも20枚で200秒。1分半~3分でまず1回、最後まで目を通します。そうすると気持ちが何となく落ち着いてくるもの。そしてもう一度最初から、今度はチェックした部分だけに目を通す。すると資料の中で今は不要な部分はそぎ落とされ、本当に重要な部分だけが見えてきます。

慣れるまでは練習が必要ですが練習すれば物事の本質だけを抽出する能力、情報を瞬時に自分のふるいにかける能力が鍛えられていくはずです。

オススメ記事

齋藤 孝

さいとう たかし

明治大学文学部教授。



1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。



250万部を超えるヒットとなった『声に出して読みたい日本語』シリーズ(草思社)のほか、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『大人の精神力』、『10歳までに身につけたい「座る力」』(いずれも小社刊)など著書多数。


この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

手抜き力
手抜き力
  • 齋藤 孝
  • 2014.06.21