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大石あきこ議員、橋下徹に完全勝訴 判決文にあったメディアに対する宿題とは何か?【篁五郎】

【橋下裁判・判決】 #大石あきこ橋下徹に訴えられたってよ 2024年1月31日 記者会見LIVE配信より画像引用

 

■橋下氏の主張は裁判中に証拠付きで退けられていた

 

 橋下氏が指摘したのは、大石議員の発言は論評ではなく事実にそぐわない名誉毀損の発言だということ。それが今回の訴訟の争点でもある。その言い分は非常に苦しいものがある。その理由として挙げられるのが、橋下氏本人が書いた『図説・心理戦で絶対に負けない交渉術』(日本文芸社)に記載されている「架空の利益」についてだ。その本の中で橋下氏は以下のように記している。

 

《交渉において相手を思い通りに動かし、説得していくには、はっきり言って三通りの方法しかない。

 “合法的に脅す”“利益を与える”“ひたすらお願いする”の三つだ。そのなかで、最も有効なのは“利益を与える”ことである。

 この場合の利益には二通りある。一つは文字通り相手方の利益。もう一つは、実際には存在しないレトリックによる利益だ。不利益の回避によって感じさせる“実在しない利益”とも言える(6頁)。》

 

 大石議員側は裁判所に上記のテクニックを駆使した証拠を提出をしていたのだ。大阪市長時代に定例会見で行った、MBS(毎日放送)の女性記者に対する吊し上げ、朝日新聞の女性記者に対するTwitter(現・X)での暴言、NHKに対する出演拒否騒動を具体例として挙げた。

 これらは2023年10月27日に行われた裁判の代表質問でも被告側代理人から提示されており、マスコミへのムチと主張している。一方、アメとしては「橋下氏の太鼓持ち」を自称するMBS(毎日放送)の山中氏に対して特別取材をさせたこと。それは「激撮スクープ」という番組でも映像で流されたことを挙げた。橋下氏側は、これらの証拠を反証できないまま終わっている。

 さらに橋下氏の主張について大石議員の弁護団長である弘中惇一郎弁護士が記者会見で詳細を説明した。

 

「メディアに対する極めて一方的な権力的弾圧的に対応してきたということは簡単に立証できたんです。

ところがそのアメの方はなかなか難しくてですね、橋下さんに言わせると、全てのメディアに対して公平に対応してきたので、どっかの新聞社とかテレビに対して特別の取材させてあったことはないと。これが向こうの言い分だったわけです。

 そこでこちらが出した事実が二つあります。一つが、特別な恩恵というのは、必ずしも初めから特別にさせてるってことではなくって、自分の意にならないようなところは外すと。外しておいて、謝ってきたら、元に戻しちゃうと。このことがまさにアメであるという主張が一つ。それからもう一つは、僕らその証拠は、たまたまうまくあったわけですが、特定のメディアの記者に対して、いわゆる箱乗り取材といって自分の車に乗せて、橋下氏が特別に1対1で対応することがありました。それがある放送の中で本人も認め、記者の方も認めたという事実があったわけです。

 この二つがまさにアメであるという主張をしました。裁判所は全面的にこちらの主張を認めてくれています」

 

 弘中弁護士によると、裁判官は橋下氏のアメとムチに対して「事実と認めた真実である」という言葉を使っていたという。名誉毀損裁判で事実認定をする際、「真実と信ずるに足りる相当な事情があった」という文言を使うことが多いそうだ。しかし、今回はさらに踏み込んだ表現を使って「真実である」と認定している。

 ここまではっきりと記載されたものをひっくり返すには、相当な証拠を持ってこないと難しいだろう。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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