松井一郎に訴えられた水道橋博士が大阪高裁で敗訴、即最高裁上告を決意。この裁判が理不尽極まりない理由とは |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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松井一郎に訴えられた水道橋博士が大阪高裁で敗訴、即最高裁上告を決意。この裁判が理不尽極まりない理由とは

 

◼︎最高裁上告を表明した瞬間、「日本中学生新聞」から鋭い質問が・・

 

 博士は「マスコミの方、特に記者の方、ジャーナリズムとは何かっていうのを議論させてください」と呼びかける。しかし室内に鳴り響くのは記者が叩くキーボードのタイピング音だけであった。場は質疑応答に移るも主催した記者クラブから出たのは幹事社の読売新聞社だけ。内容も定番である「最高裁に上告するか?」といったもの。

 博士は「上告します」と力強く答える。その後に、フリーとして参加した日本中学生新聞から「司法は、弱いものの味方であるべきだと思うのですが、この点についてどう思われますか」といい質問が飛び出す。博士は「僕も常にそう言っています」と回答。

 その後、大阪のテレビ局がプロパガンダ放送になっているっていう問題や、自ら裁判の内容をきちんと取り上げたメディアがほぼなかったこと、大阪毎日放送(MBS)が、当時日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)、吉村洋文副代表(大阪府知事、大阪維新の会代表)、同会元代表の橋下徹氏の3人を正月番組に出すという政治的中立性を犯す行為をした件、大阪府と読売新聞が教育・人材育成、情報発信など8分野にわたる包括連携協定をしていることなどを挙げて、大阪では与党である維新とメディアが結託しているように見えると指摘した。

 しかし会見に参加した記者はノートパソコンに目をやってタイピングを続けるだけ。誰一人質疑に参加しようとはしなかった。日本中学生新聞は続けて、佃弁護士へ質問する。

 「結論が正義に反しているのに、このような結果になるのは珍しいことなのでしょうか?」

 佃弁護士は「たまにはあるんじゃないですか」と答えるも、今回の判決については怒りを隠さずに語った。

 「私、30年やっていますけども、3本の指に入るおかしい判決。ちょっと、もう本当、立ち直れないぐらいひどい」

 続いて当サイトから次にような質問をした。

 「今回の裁判で松井氏側が主張してきたのはサムネに書いている強姦疑惑なのか?」

 すると佃弁護士ははっきりと答えた。

 「それだけです」

 啞然とするしかなかった。原告は他にも色々な主張し、そのなかでも特に大きな争点にしたとして主張したのがサムネイルの件だと推測していたからだ。まさか他人が作った動画のサムネイルに表示された文字だけで、名誉毀損と主張するとは思わなかった。前代未聞の訴訟であるし、裁判など起こす必要を微塵も感じない。

 もしこの判決が前例となるならば、SNSで他人の動画や画像を拡散することは不可能に近くなる。サムネイルが表示されるのはSNSの仕様であり、利用者はどうしようもできない。他人の動画を流すときも本人の意図と違うものが、サムネイルにあったら名誉毀損になってしまうのだ。今回の一審と二審の判決では、そう言っているのと同義である。

 裁判は最高裁にまでいくと思われるが、松井氏側の主張を最高裁の判事はどう判断するのだろう。もし、一審と二審の判決を支持するのであれば、我々は言論の自由を奪われる事態になるかもしれない。提訴をした松井一郎氏は、自らが同じ理由で訴えられる可能性があることに気づいているのだろうか。

 この裁判は単なる民事訴訟ではない。日本で言論の自由が守られるのかどうかの争いである。最後まで見届けるのが我々ジャーナリストの責務であろう。(終わり)

 

文:篁五郎

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  • 目次

はじめに−−「B層」とは何か?

✳︎

第一章 内田樹と『日本辺境論』

辺境と偏狭

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

B層グルメと某評論家

B層という言葉が出てきた経緯

なぜ日本はこんなことになってしまったのか

ルース・ベネディクトの『菊と刀』

安倍晋三の行動原理

学問のブレイクスルー

マイケル・ポランニーと暗黙知

百人一首を暗記する意味

「型」を知るということの贅沢

 ✳︎

第二章 自立を拒絶する人たち

白井聡の『永続敗戦論』

終戦記念日という欺瞞

冗談は櫻井よしこさん

「サヨク」と「保守」の自己欺瞞

「主権の欲求不満」の解消

 ✳︎

第三章 「正義」を笠に着る人たち

ウクライナ首都の名称変更は「正義」なのか?

「人間は見たいものしか見ない」

社会的リンチというB層の「正義」

人種問題における「正義」の暴走

「ルッキズム」批判は「正義」なのか?

言葉狩りは「正義」なのか?

若年層に選挙権を与えるのは「正義」なのか?

山本太郎と「正義感」について

 ✳︎

第四章 陰謀論に走る人たち 

「無知の知」と「無恥の恥」

不道徳としか言えない果物屋

「維新に殺される」

新型コロナは「バカ発見器」でもあった

ひっくり返って駄々をこねる老人たち

Yahoo!ニュースのコメント欄

知識はあるけど教養がないバカ

デマは言論の自由にあらず

社会の変化は元には戻らない

99%の人が知らない話

✳︎ 

第五章 無責任な人たち

安倍の次は維新に騙されるB層

メディアの劣化が止まらない

大阪都構想のデマと事実隠蔽

総選挙で湧いてきたB層

✳︎ 

第六章 恥知らずな人たち

飼い犬の遠吠え

安倍晋三の本質を映し出す一枚

ツッコミ待ち政治家だらけの国

日本の崩壊に気づいていないB層

日本最大の権力者は「改革バカ」

「ジューシー」発言は外部の拒絶

悪意なく嘘を重ねる人々

カルト化した自民党広報本部

百田尚樹の「歴史改ざんファンタジー」

日本人は悪に屈したネトウヨ用語を使い騒ぎ出した元首相

✳︎ 

おわりに−−人間は過去を忘れ野蛮は繰り返される

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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