【日本の移民政策に口を挟む国連は、そんなに信用できる国際機関なのか!?】 | BEST T!MESコラム

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日本の移民政策に口を挟む国連は、そんなに信用できる国際機関なのか!?

いま誇るべき日本人の精神 第4回

「日本は近い将来、移民政策を見直す必要に駆られる可能性がある」と国連は考えているというが、そもそも日本人は「国連」という組織をどのようなものと考えているのだろうか。外交評論家の加瀬英明氏から話を聞いた。

 「国際連合」という名称の国際機関は、世界のどこを探してみても、存在していない。

 

 それなのに、世界のなかで、日本ほど国連に対する憧れが、強い国はない。

 国連は「平和の殿堂」として、多くの日本国民にとって、平和憲法と並んで信仰の対象となってきた。

 そのかたわら、歴代の政府が「国連中心主義」を、日本の外交の基本方針とすることを、宣明してきた。

 だが、大多数の日本人が国連について、よく知らない。

 まず、困ったことに、「国際連合」という国際機構は、どこにも存在していない。

「国際連合」も、「国連」も、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」の誤訳である。

 国連は日本人の頭のなかだけに、存在しているのだ。

◆「国際連合」と「連合国」

 もっとも、日本では「国際連合」とか、「国連」という呼称が、すっかり定着してしまっているから、ここでは便宜のために、「国連」という呼称を、用いることにしたい。

 国連は、その公用語のひとつである英語では、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」THE UNITED NATIONSと、呼ばれている。

「チャーター・オブ・ジ・ユナイテッド・ネーションズ」である国連憲章は、日本がまだ  連合国を相手にして、第二次大戦を戦っていた昭和二十(一九四五)年六月に、五十一ヶ国の諸国によって、サンフランシスコにおいて調印された。

 国連憲章は、外務省による正訳では、今日でも「われら連合国の人民は‥‥」(ウィー・ザ・ピープルズ・オブ・ジ・ユナイテッド・ネーションズWE THE PEOPLES OF THE UNITED NATIONS‥‥)という言葉から、始まっている。

 ここでは、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」が、「連合国」と正しく訳されている。

 そして、「われらの一生のうち二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い‥‥」と、続いている。

 ところが、文中では「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」が「連合国」と訳されているのに、「ザ・チャーター・オブ・ジ・ユナイテッド・ネーションズ」THE CHARTER OF THE UNITED NATIONSは、なぜなのか、「国際連合憲章」と訳されている。

  

 翻訳に当たっては、同じ言葉を同じように訳さなければならないのが、鉄則であるのに、これは何とも奇妙なことだ。

 そうなると、いったい、二つの訳語のうち、どちらのほうが正しいのだろうか?

 ニューヨークのマンハッタンのイーストリバーに面して、三十九階建てのガラス張りの本部がたっている「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、正しくは「連合国」なのだ。

 国連が誕生した時から、英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語の五つの言語が公用語となってきた。

 現在では、公用語にアラビア語が加えられて、六ヶ国語となっている。

 中国語では、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、当然のことに「連合国(リエンホーグォ)」である。

 国連の生い立ちからいって、日本語でも「連合国」と呼ぶべきだ。

 日本は中国と同じ漢字圏に、属している。「連合国」は日本語でも、先の大戦中から常用され、十分に馴染んできた言葉である。韓国と北朝鮮においても、国連を指す言葉として、「連合国(ヨナブグク)」を用いている。

 同じ敗戦国であるドイツでは、ドイツ語でかつての国際連盟が「ディ・フルカーブンド」Die Volkerbundであるのに対して、国際連合はドイツが戦った連合国と変わらない、「ディ・フェアインテ・ナツィオネン」Die Vereinte Nationen(連合国)と呼ばれている。「フルカー」が民族、「ブンド」が「連盟」であり、「フェアインテ」は「連合」、「ナツィオネン」が国を意味している。

 イタリア語でも「レ・ナツィオニ・ウニテ」Le Nationi Uniteであって、そのまま「連合国」である。

 日本人は不愉快な現実から、眼をそらすために、言葉をいい替えることによって、現実から眼を閉じる習癖がある。

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加瀬 英明

かせ ひであき

1936年東京生まれ。外交評論家。慶應義塾大学、エール大学、コロンビア大学に学ぶ。「ブリタニカ国際大百科事典」初代編集長。1977年より福田・中曽根内閣で首相特別顧問を務めた。日本ペンクラブ理事、松下政経塾相談役などを歴任。著書に『イギリス 衰亡しない伝統国家』(講談社)、『天皇家の戦い』(新潮社)、『徳の国富論』(自由社)、『アメリカはいつまで超大国でいられるか』(祥伝社)、『中国人韓国人にはなぜ「心」がないのか』、『大東亜戦争で日本はいかに世界を変えたか』、『いま誇るべき日本人の精神』(ともにKKベストセラーズ)など。



 


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