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何かのために生きるとき、人は幸せになれる

―アドラー心理学とその弟子フランクルの心理学の教え―

何かのために生きるとき、人は幸せになれる

人生に対する態度を人は「再選択」できる――そう考える点で、フランクルはアドラー以上に徹底しています。

 

 ご存知のように、フランクルはナチスの収容所に捕らえられていました。それまでの心理学では、ナチスのような悲惨な状態に置かれると、多くの人間は悪魔になるはずだ、他の人間を殺し人肉を食べてでも自分だけは生き残ろうとするはずだと思われていました。

 

 しかし、実際にフランクルが見たのはそうではありませんでした。

 強制収容所の中で、非収容者たちは、実際には、天使になる人と悪魔になる人に分かれていったのです。自分も死にそうなぐらい苦しいのに、もっと苦しそうな人を見つけては、自分のパンを分け与えていた人もいたのです。これが、天使になる選択をした人です。

 

 しかしその一方で、目の前に死にそうな人がいるときに、その人が持っているパンを奪って自分が生き延びようとする人もいた――。フランクルはこうした現実を目のあたりにしたのです。

 

 ナチスの中でも、鬼畜化していくような人もいれば、自分のポケットマネーで薬を調達して、本当に死んでしまいそうなユダヤ人の命を救っていたナチスもいた。結局のところ、重要なのは、その人がユダヤ人かナチスかではない。ギリギリのところで人間を分かつのは結局のところ、一人一人の自己選択である。そこに人生はかかっている。それは、収容所のような極限状態においてもそうだった、というのですね。

 

 人生に対する態度を再選択することで人生は変わっていくのだと言うアドラー心理学の理論を、ある意味でさらに徹底化していったのがフランクルの理論なのです。

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諸富 祥彦

もろとみ よしひこ

明治大学文学部教授

1962年、福岡生まれ。筑波大学、同大学院博士課程修了。千葉大学教育学部助教授を経て、現在、明治大学文学部教授。教育学博士。日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会理事、臨床心理士。著書に『知の教科書 フランクル』(講談社選書メチエ)、『ビクトール・フランクル 絶望の果てに光がある』(小社刊)、『フランクル「夜と霧」』(NHK 100分de名著)などがある。HP:http://morotomi.net


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