三浦瑠麗、田村淳、国生さゆり……。剥がれゆくメッキとその正体【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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三浦瑠麗、田村淳、国生さゆり……。剥がれゆくメッキとその正体【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第38回

 

■選挙中にうごめくいかがわしい連中

 ハイパーメディアクリエイターを名乗る田村淳という男が、統一地方選の後半戦の投票日直前に、世論工作を行った。《地元下関が統一教会の聖地だって!?聖地って神・仏・聖人や宗教の発祥などに関係が深く、神聖視されている土地って意味だよな?僕は支持政党無しだが、下関がカルト教団の聖地という印象操作をした事にムカついてるし、有田芳生氏やその発言を支持した議員を心から軽蔑します。下関はそんな街じゃない》とツイートしていたが、これは二重三重に問題がある。統一教会が下関を「聖地」としているのは事実であり、有田の演説は「下関は統一教会の聖地」と言わせないようにしようというもの。田村は発言を捻じ曲げ、間違いを指摘された後も撤回せずに支離滅裂な自己弁護を始めた。選挙直前にデマを流し、選挙が終わるとシラを切るのは維新の手口と同じ。

    *

 元アイドル歌手の国生さゆりが《淳くんの怒りは理解できる。根拠なくヨシフさん『聖地』とか言っちゃった訳だし、軽蔑するよ》《選挙中なんのに軽率過ぎる。そんな事も考えられないほど、お花畑なのかな》(原文ママ)とツイート。そのまま、熨斗をつけて返したほうがいい。その後、一部メディアが、国生に自民党が白羽の矢を立て、次期参院選の目玉候補となる可能性があると報道。ちゃんちゃん。軽蔑するよ。

    *

 時事通信が4月の世論調査で「次の首相にふさわしい人物」を尋ねたところ、河野太郎が176%でトップだった。2位は小泉進次郎の141%、3位は石破茂の130%だった。毎日新聞の同月の世論調査では、「日本の首相になってほしいと思う人」は、河野が1位、岸田文雄が2位、高市早苗が3位だった。今の日本はこんな国。

河野太郎

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 維新の馬場伸幸が、立憲民主党の小西洋之参院議員の「サル」発言をめぐる立民側の対応について「謝罪の意があるのかないのかよく分からない。党内で処分をしたようだが、単なるパフォーマンスかと疑ってしまう。立民との関係は非常に憂慮すべき状況になってきた」と発言。アホくさ。維新は小西の正式な謝罪を求め、応じるまで共闘を凍結すると宣言。だったら共闘などやめればいい。しかし、泉って維新がどういう集団か知らないんですかね。知らないならただのバカだし、知っていてやっているなら悪質。どちらにせよ、救いようがない。

    *

 馬場は小西がツイッターに投稿した謝罪の文面をプリントアウトした紙を秘書に渡したことに言及。「社会常識としておかしい。本当に申し訳ないと思っているのかどうか、大きな疑問符が付く」と語ったそうな。「社会常識」が完全に欠如しているのが馬場である。2021年の総選挙ではテレビ番組や街頭演説で「私立高校も、大阪では完全に無償」とデマを流した。この件に関し追及されると「言いぶりというのはありますよね。選挙の時ですから。私がそれ国会で、公の場で質問したりとか、そういうことをしているということであれば大問題ですけれども、もちろんカッコ書きの中に所得制限はありますけれども完全に無償化してますと、該当者の皆さん方には完全に無償化していますという意味合いでね、言ってるんです」。選挙の際のデマは「言いぶり」らしい。

 2017年の堺市長選では応援演説で「大阪市は40%近く水が余り、捨てている」「それを堺市に引っ張ってくることができれば水道料金の値下げは可能」とデマを垂れ流した。大阪市水道局はこれを否定。もう一度言う。「社会常識」が完全に欠如しているのが馬場である。

 

文:適菜収

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日本をダメにした 新B層の研究

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  • 目次

はじめに−−「B層」とは何か?

✳︎

第一章 内田樹と『日本辺境論』

辺境と偏狭

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

B層グルメと某評論家

B層という言葉が出てきた経緯

なぜ日本はこんなことになってしまったのか

ルース・ベネディクトの『菊と刀』

安倍晋三の行動原理

学問のブレイクスルー

マイケル・ポランニーと暗黙知

百人一首を暗記する意味

「型」を知るということの贅沢

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第二章 自立を拒絶する人たち

白井聡の『永続敗戦論』

終戦記念日という欺瞞

冗談は櫻井よしこさん

「サヨク」と「保守」の自己欺瞞

「主権の欲求不満」の解消

 ✳︎

第三章 「正義」を笠に着る人たち

ウクライナ首都の名称変更は「正義」なのか?

「人間は見たいものしか見ない」

社会的リンチというB層の「正義」

人種問題における「正義」の暴走

「ルッキズム」批判は「正義」なのか?

言葉狩りは「正義」なのか?

若年層に選挙権を与えるのは「正義」なのか?

山本太郎と「正義感」について

 ✳︎

第四章 陰謀論に走る人たち 

「無知の知」と「無恥の恥」

不道徳としか言えない果物屋

「維新に殺される」

新型コロナは「バカ発見器」でもあった

ひっくり返って駄々をこねる老人たち

Yahoo!ニュースのコメント欄

知識はあるけど教養がないバカ

デマは言論の自由にあらず

社会の変化は元には戻らない

99%の人が知らない話

✳︎ 

第五章 無責任な人たち

安倍の次は維新に騙されるB層

メディアの劣化が止まらない

大阪都構想のデマと事実隠蔽

総選挙で湧いてきたB層

✳︎ 

第六章 恥知らずな人たち

飼い犬の遠吠え

安倍晋三の本質を映し出す一枚

ツッコミ待ち政治家だらけの国

日本の崩壊に気づいていないB層

日本最大の権力者は「改革バカ」

「ジューシー」発言は外部の拒絶

悪意なく嘘を重ねる人々

カルト化した自民党広報本部

百田尚樹の「歴史改ざんファンタジー」

日本人は悪に屈したネトウヨ用語を使い騒ぎ出した元首相

✳︎ 

おわりに−−人間は過去を忘れ野蛮は繰り返される

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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