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仕事とは全人格の戦い。生き残るビジネスマンは何が違うのか?【佐々木常夫】後編

仕事人生を学び直すチャンス


いま大きな話題となっている対話型AIChatGPT−−。今後あらゆる分野において、AIが席巻し、人間の仕事をどんどん奪っていくといわれている。AIに仕事を奪われないために、そして、先行き不透明な時代の中、わたしたちは、この先、どう生きるべきなのか? 元東レ経営研究所社長で累計190万部のベストセラー作家である佐々木常夫氏が〝はたらく〟すべての人たちに向けた提言を特別公開する【後編】。


佐々木常夫氏

 

■欲を持って、欲をコントロールする術を身につけよ

 相手のことを尊重する一方で、私はいつも皆さんに「欲を持ちなさい」と言っています。「欲」というと、あまり品がよくないように感じるかもしれませんが、欲があるからこそ一生懸命に働き、勉強もするのです。

 ただし、若い頃の欲というのは自分本位になりがちです。欲の強さが過剰になるがあまり、「人を蹴落としてでも成功してやる」とか「多少ずるいことをしてでも成績を上げたい」と考えて行動していると、必ずどこかで壁にぶつかり、うまくいかなくなります。

 人は強くなければ仕事はできませんが、優しくなければ幸せになれません。仕事というのは全人格が出ます。全人格の戦いなんです。だからこそ、真実一路を貫いているほうが必ずうまくいきます。そうするうちに欲が磨かれて「志」になるのです。嘘をついたり、何か仕掛けをしてみたりといったことをしていると、「あの人は信用できない」という噂がすぐに広がります。結局、最後は負けてしまうでしょう。

 その志が一番自然に表れるのが、礼儀正しさであり、その本質は相手を尊重することです。礼儀正しい人は、会っていても気持ちがいいものです。礼儀正しいというだけで、一緒にいたいとか、食事をともにしたいと感じます。当然、仕事もスムーズに進みますし、チャンスも広がるでしょう。何かトラブルが起きたときでも、助けの手を差し伸べてくれたり、適切な人を紹介してくれるかもしれません。私が「礼儀正しさは最大の攻撃力」だと考えているのは、こうした理由からです。

 逆に、礼儀正しくない人と誰が一緒に仕事をしたいと思うでしょうか。礼儀を欠く人の周囲からは、人が自然に離れていくものです。つまらないトラブルやミスも生じるでしょう。仕事がうまくいくわけはありません。

 当然のことながら、信頼を勝ち得るための礼儀正しさは、一朝一夕で習得できるものではありません。習慣として身に付けていくことが、とても大切になります。

 かくいう私も20代の頃は毎晩飲み歩いて、二日酔いで会社に遅刻したり、仕事でミスをしたりして、直属の上司から随分心配されました。しかし、怒られたり、ミスをするたびに反省し、どうすれば二度と同じ間違いをしないかをよく考えて、手帳に書いたり、ノートにメモを取ったりしました。その結果、次第に仕事がうまくいくようになりました。そのときに、思いました。

「よい習慣は才能に勝る」と。

 よい習慣とは、ミスをしないように事前の準備をしっかりしておくとか、早寝早起きをするとか、会議には開始時間の10分前にはスタンバイしておくとか、上司への報告は、「あれ、どうなった?」と聞かれる前にするといったことです。こういう「一歩先の行動」を習慣づけていくと、徐々に失敗しなくなります。すると、仕事が面白くなってきて、積極的かつ主体的に取り組めるようになります。上司や取引先から褒められるケースも増えるでしょう。自分自身の成長を実感する瞬間もあると思います。私の場合、仕事ががぜん、面白くなってきたのは、30代後半からです。40代のときに一番、力が伸びました。若いうちは何度も壁にぶつかるものです。そこで諦めないで、よい習慣を身に付けられるよう努力を重ねるんです。そうすれば、必ず成長を実感するときがきます。仕事を進めるうえで必要なスキルは、あとからついてきます。それよりも、まずは目の前に仕事に誠実に向き合うことから始めましょう。

 もちろん、入社してすぐに実績を上げる人もいます。しかし、そこで自分と比較して、嫉妬したり、負の感情を抱いても、決して自分のためにはなりません。

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大崎量平

おおさき りょうへい

記者・編集者

学習院大学文学部哲学科卒業。大学卒業後、医療系出版社、編集プロダクション、フリーランスの編集記者、KKベストセラーズ「月刊CIRCUS」編集部、徳間書店「週刊アサヒ芸能」記者、家電業界誌、光文社「FLASH」記者を経て、2018年より講談社「週刊現代」記者として活動。芸能・スポーツからビジネス、社会評論に関する書籍の構成ライターも務める。

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