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世界がもし100人の三浦瑠麗だったら【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第31回

山上徹也容疑者

 

■統一教会元幹部が安倍の国葬に感謝

 

 202278日、奈良市にある奈良西警察署は、安倍銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者の弁解録取書を作成した。「安倍元首相ではなく、統一教会のトップ、韓鶴子総裁を撃ちたかった。でも、コロナで日本に来ないので、統一教会と深い関わりのある安倍元首相を撃ちました」「もともと統一教会を日本に引き込んだのは、岸信介元首相だ。ただ、すでに死んでいるので、その孫の安倍元首相を狙った」。山上は統一教会関連団体に安倍がビデオメッセージを送ったことも知っており、家庭を破壊した統一教会に恨みをもっていたという供述は一貫していた。しかし、奈良県警は当日夜に行った会見で「統一教会」の名称を伏せ、「特定の団体」への恨みとしていた。

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 私も何度も指摘し続けてきたが、メディアは山上が「思い込んで」というストーリーに誘導しようとしていた。事件当日には、日本経済新聞(電子版)が「銃撃の容疑者『安倍氏、特定団体につながりと思い込み』」と見出しを打った。同月15日、NHKは「容疑者は宗教団体に恨みを募らせた末、安倍元総理大臣が近しい関係にあったと思い込んで事件を起こしたとみられています」と報道。16日には産経新聞が「山上容疑者は母親が宗教団体へ献金を繰り返し破産した恨みを募らせ、関係があると一方的に思い込み安倍氏を狙ったとみられている」と報じた。雑誌記事も「山上の思い込み」と繰り返したが、もちろん山上の一方的な「思い込み」などではない。

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 2022年1228放送のTBS「報道1930」で、統一教会元幹部の阿部正寿が証言を行った。阿部によると統一教会は安倍晋三を再び総理に返り咲かせるために尽力。「安倍総理のお父さんの安倍晋太郎さんとうちの久保木(修己・統一教会初代)会長は仲良かったんです。文(鮮明)先生は安倍晋太郎さんに言った。あなたがもし自民党総裁、首相になったら、まずは韓国に来たときは、大統領官邸に行くんじゃなくて、文先生の自宅がある漢南洞に挨拶に行きなさい。それと日韓トンネルを応援しなさい。約束したんです」。晋太郎が病死したため、約束の遂行のために今度は晋三を応援することになる。晋三は統一教会の関連団体「世界戦略総合研究所」に招かれて講演。統一教会が安倍を励ますために企画した高尾山の登山に参加したりするようになる。

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 阿部正寿はこうも述べていた。「安倍(晋三)総理は使命を果たした方だと思っています。国葬もやっていただいてありがたいなと思っています」。国民の6割以上が反対する中、国葬を強行した人たち、感謝されてよかったですね。

 

文:適菜収

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  • 目次

はじめに−−「B層」とは何か?

✳︎

第一章 内田樹と『日本辺境論』

辺境と偏狭

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

B層グルメと某評論家

B層という言葉が出てきた経緯

なぜ日本はこんなことになってしまったのか

ルース・ベネディクトの『菊と刀』

安倍晋三の行動原理

学問のブレイクスルー

マイケル・ポランニーと暗黙知

百人一首を暗記する意味

「型」を知るということの贅沢

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第二章 自立を拒絶する人たち

白井聡の『永続敗戦論』

終戦記念日という欺瞞

冗談は櫻井よしこさん

「サヨク」と「保守」の自己欺瞞

「主権の欲求不満」の解消

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第三章 「正義」を笠に着る人たち

ウクライナ首都の名称変更は「正義」なのか?

「人間は見たいものしか見ない」

社会的リンチというB層の「正義」

人種問題における「正義」の暴走

「ルッキズム」批判は「正義」なのか?

言葉狩りは「正義」なのか?

若年層に選挙権を与えるのは「正義」なのか?

山本太郎と「正義感」について

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第四章 陰謀論に走る人たち 

「無知の知」と「無恥の恥」

不道徳としか言えない果物屋

「維新に殺される」

新型コロナは「バカ発見器」でもあった

ひっくり返って駄々をこねる老人たち

Yahoo!ニュースのコメント欄

知識はあるけど教養がないバカ

デマは言論の自由にあらず

社会の変化は元には戻らない

99%の人が知らない話

✳︎ 

第五章 無責任な人たち

安倍の次は維新に騙されるB層

メディアの劣化が止まらない

大阪都構想のデマと事実隠蔽

総選挙で湧いてきたB層

✳︎ 

第六章 恥知らずな人たち

飼い犬の遠吠え

安倍晋三の本質を映し出す一枚

ツッコミ待ち政治家だらけの国

日本の崩壊に気づいていないB層

日本最大の権力者は「改革バカ」

「ジューシー」発言は外部の拒絶

悪意なく嘘を重ねる人々

カルト化した自民党広報本部

百田尚樹の「歴史改ざんファンタジー」

日本人は悪に屈したネトウヨ用語を使い騒ぎ出した元首相

✳︎ 

おわりに−−人間は過去を忘れ野蛮は繰り返される

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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