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蒲生氏郷のふるさと・日野⑤信楽院墓地

季節と時節でつづる戦国おりおり第410回

 若草清水から日野川の分流を南へ渡るとすぐに小山が続きますが、その山の中には信楽院(しんぎょういん)さんの墓地があります。なかなかわかりづらいのですが、たまたま外にいらっしゃった住人の方にお尋ねしながらたどり着けました。感謝。

 まず墓地への道の途中に、こちらがあります。

 

 郷さんの4代前のご先祖、貞秀さんのお墓です。貞秀さんは応仁の乱では東軍に属して戦ったように室町幕府との関わりが深く、南近江守護の六角氏の指揮下にありながら一方で将軍の動員に応じ、息子に家督を譲って出家姿で戦場にも赴くことで蒲生家の名を高めた武将でした。

 また歌人として知られ、准勅撰の和歌集『新撰菟玖波集』にもその詠歌が収録されています。氏郷さんが和歌や茶湯に堪能だったのも、御先祖さまのDNAによるものが大きかったわけですね。

 次がこちら。

 

 墓所に入ってすぐ正面、貞秀さんの孫で氏郷さんの祖父にあたる定秀さんのお墓。

 定秀さんは本家の当主でいとこの秀紀さんから家督を半ば強引に譲り受けた武闘派で、ついには秀紀さんを殺してしまうという非情な人物でした。ですが、日野城(中野城)を築いてのちの日野商人の隆盛の基盤をつくった功績者でもあり、また六角氏の宿老としても活躍。最後は織田信長に従って天正7年(1579)に世を終えています。

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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