■何かを覚えると自分に自信が持て、脳も瑞々しくなる気がします

――21歳でデビューして芸能生活60余年。終活を始めたり、セミリタイヤしたりするシニア芸能人がいるなかで、今もなお〝現役〞生活を送る伊東さん。シニア世代に向けた、人生を愉しむ秘訣としてこんなエールを送る。

 記憶する楽しさというのはあるんじゃないのかな。何でもいいから、何か覚えてみるのはいいもんですよ。私の場合は、セリフを覚えるのが仕事なので、これができなくなると廃業するしかない。それで、セリフ覚えの助けになるようなことをしたいと思って始めたのが、何かモノを覚えてブツブツしゃべること。

――これまでに覚えたジャンルは実に多彩。アメリカの全50州名をはじめ、Jリーグや米メジャーリーグのチーム名、日本の旧国名、世界各国の国名など、取材現場でよどみなく単語を発して見せた。「世界の国名は199まで覚えてやめてるの。中途半端がいいんですよ」と遊び心も忘れない。なかでも周囲から絶対無理と言われたのが百人一首だという。

 覚え方もバリエーションがあるんです。まず歌そのものを百首覚えるでしょ。それから作者と歌をセットで覚えたり、下の句を見て、上の句が言えるように覚えたり。それだけでも300通りはあるんじゃないかな。ある種の脳のエクササイズですね。みんなにそんなことできないって言われたけど、できるんです。私がやったんだから。

 それとか円周率を覚えてみるとかね。ちゃんと覚えようとすると、頭に入ってくるもんなんですよね。3・14159265358979323846って(編集部注︙ご名答でした)。こんなことブツブツ言うんです。やっていると退屈しないですよ。

 脳細胞って一生の間に使わないところがあるらしいじゃない。だから遊んでいるところを使い続けていれば、セリフも覚えやすいかなと勝手に思っているんですけどね。覚えると自分に自信も持てるし、脳が瑞々しくなっていくような気がします。そんなことやりながら、これからもオファーがあれば仕事はやり続けます。断ると誰かがやるでしょ。それ見るのが一番嫌なんですよ。悔しいですから。そういう心持ちじゃないと続けられないのかもしれないね。