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【伊東四朗さん特別インタビュー①】還暦をはるかに超えてなお、精力的に仕事を続けられる秘訣とは?

多岐にわたり、いまだ一線で活躍する伊東四朗さん 芸能人生はもう60年も続いている。

喜劇人の道を進むきっかけを作ったのは、ある人との出会い 

――伊東さんが喜劇人の道を進むきっかけを作ったのは、ある人との出会いから。それは昭和30年代前半のこと。高校を卒業後、早稲田大学の生協で時給30円のアルバイトをしていた時だ。

 アルバイトしていたのは、就職試験にすべて落ちたからです。心配した学友の身内が重役を務める大手製薬会社を紹介してもらったんだけど、格好だけのはずだったその就職試験にも落ちちゃった。もう、恥ずかしいったらありゃしない。
 でも特に挫折感もなく、何とかなるだろうって、わりとお気楽に過ごしていたかな。それでアルバイトしながら、芝居が好きだったもんですからね、歌舞伎座や浅草、新宿、池袋などの小屋に通うようになったの。

 

――いつも同じ客席で観劇していたこともあり、伊東青年は「あいつ、また来ている」と舞台の関係者の間で有名になっていったという。そして、ある日。

 いつものように観劇した帰り道。劇場を出るところのガラス窓が突然ガラッと開いて、演者と目が合ったんですよ。すると『よう、寄っていけ』と声を掛けられたのがきっかけ。

 

――目が合ったのは昭和期に活躍した喜劇役者の石井均(いしいきん)氏(故人)。当時はコメディアンとして頭角を現し始めた頃で、若手の注目株だった。

 あの時に窓が開かなかったら、目が合わなかったら、今の私はないね。ほんとに数秒の違いで人生が変わっていたと思う。声を掛けられたら、もう欣喜雀躍(きんきじゃくやく)でね。楽屋でいろんな話させてもらううちに、今度、石井均さんが一座を旗揚げするから、そっちにも遊びに来るかって言われてね。もちろん行かせてもらって。そしたら今度は(舞台に)出てみるかって。

 

――1958年、石井均氏を中心とする劇団「笑う仲間」が旗揚げされる。伊東さんは、ここで初舞台を踏む。21歳の時だ。

 セリフも何もなくてね。公衆便所からジッパーを上げながら出てきて、口笛吹いて去っていく。それだけだったんですけど。何だか知らないけど、楽しくてね。

 

――そんな時にアルバイトをしていた生協から正社員の話がくる。

 そこで人生について初めて悩んだんです。どうしようか、俺の人生、ここで変わるぞって。それで悩んだ挙句に〝口笛〟の方をとっちゃった。

 

――こうして「笑う仲間」の研究生として加わり、役者人生の幕が開いた。その後、三波伸介氏、戸塚睦夫氏と組んだ〝てんぷくトリオ〞で国民的人気者に。数多のドラマ、映画に役者として出演し、存在感を高めていく。

 

(つづきはまた明日)

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【伊東四朗さん 略年表】
昭和12年(1937) 東京府東京市下谷区竹町(現在の台東区台東)にて5人兄弟の4番目として生まれる。
昭和24年(1949) アマチュア劇団を主宰していた長兄に引っ張り出され初舞台。
昭和31年(1956) 就職試験にことごとく落ち、早大や東大などの生協に掛け持ち勤務。
昭和33~34年(1958~59) 劇団「笑う仲間」が浅草・松竹演芸場で旗揚げ。参加する。
昭和34~36年(1959~61) 「笑う仲間」が解散となり「石井均一座」となる。
昭和38年(1963) 三波伸介、戸塚睦夫と共に「ぐうたらトリオ」を結成していたが、日劇支配人の要請により「てんぷくトリオ」に改名。人気に。
昭和43年(1968) ABC『てなもんや三度笠』の後期にほぼレギュラー出演。
昭和44年(1969) ~NHK大河ドラマ『天と地と』に出演、役者の仕事が増えていく。
昭和50年(1975) TBS『笑って笑って60分』(1975~81)で大人気に。
昭和51年(1976) NET『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』(1976-78)開始。ベンジャミン伊東、電線音頭、大ブレイク。
昭和54年(1979) TBS『ザ・チャンス』(1976~86)など司会業でも人気に。
昭和58年(1983) NHK連続テレビ小説『おしん』で好演。舞台に映画に大活躍。
昭和62年(1987) 映画『マルサの女』など出演。50歳に。
平成9年(1997) 還暦。文化放送『親父熱愛』はじまる(~現在)。
平成19年(2007) 古希。映画、ドラマなど多数出演。
平成29年(2017)~現在 傘寿。テレビに舞台に活躍中。

 

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伊東 四朗

いとう しろう

俳優/コメディアン

昭和12年(1937)、東京都出身。1958年より劇団「笑う仲間」に参加。その後、石井均一座など舞台喜劇の世界で活動。63年頃から「てんぷくトリオ」として人気になり、その後も『てなもんや三度笠』『みごろ!たべごろ! 笑いごろ!』『笑って! 笑って!! 60分』など人気番組に出演。国民的ドラマとなったNHK朝の連続テレビ小説『おしん』でも好演を見せた。82歳の現在もドラマや映画、舞台、CMなど多彩な活躍を続ける。


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