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【自宅での授業参加は出席扱いになりますか?】どうなる『学びかた改革』? 〜オンライン授業の今後〜

第94回 学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

オンライン授業


 いまだ収束の見えないコロナウイルスへの感染リスクを考慮すれば、はじまったばかりの2学期も「安心して登校できる環境」とは言い難い。そこで本年より支給された端末を使ったオンライン授業への注目が集まっているのだが、意外なところでの議論も起こっているようだ。


■オンライン授業の扱いについて

 ほとんどの学校で新学期がスタートするなか、オンライン授業は「出席」と認められるのか、それとも「欠席」になってしまうのか話題になっている。きっかけは以下『朝日新聞』の記事だろう。

 9月1日付の『朝日新聞デジタル』は、「新型コロナ感染への不安や分散登校でオンライン授業を自宅で受けた子は、『出席』か、忌引などと同じ『出席停止』扱いか──。学校が各地で再開するなか、自治体によって判断が異なっている」と報じている。
 これが問題となる要因のひとつとして同紙は、「出席停止の日数が『受験に影響しないか』と心配する保護者もいる」という不安を示している。

 児童・生徒、そして教職員のあいだでも新型コロナウイルス(新型コロナ)の感染が広がっている。原則「無観客開催」となっていた東京パラリンピックだが、8月16日夜に政府と東京都、大会組織委員会、国際パラリンピック委員会(IPC)の4者による協議が行われ、小中高生にチケットを割り当てる「学校連携観戦プログラム」(学校観戦)は実施することが決まった。「無観客でも児童・生徒にはパラリンピックを観戦させる」というわけだ。

 この政府の決定に疑問と不満を持つ自治体も少なくなく、「実施せず」を独自に決めたところも多かった。政府の方針に意義を唱えたわけだ。
 それでも実施した自治体もあり、千葉市もそのひとつである。その千葉市で学校観戦を実施した中学で、引率した教員と生徒の感染が確認されている。
 8月29日までに30代から50代の教員6人が新型コロナの検査で陽性となり、そのうち2人がパラリンピックの学校観戦で生徒を引率していたのだ。9月2日には、新たに教員2人と生徒2人の感染が確認されている。当然ながら、千葉市は即座に学校観戦の中止も発表している。

 パラリンピックだから感染した、ということではない。昨年の新型コロナの感染が広まりはじめたころは、子どもには感染しにくいといわれていたものだが、新型株の流行もあってか、それはとうに「過去の話」になってしまっている。文科省の取りまとめによれば、今年1月~7月までに小学生の感染者数は9,249人で、中学生は6,198人となっている。
 8月2日には、7月12日に発令されていた緊急事態宣言が6都府県に拡大され、8月20日には茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県が追加されている。さらに8月27日からは、北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県が追加された。また、「まん延防止等重点措置」が適用される自治体も拡大している。

 こんな状況のなかで迎える新学期なのだから、学校の不安が小さいわけがない。事実、すでに危機は実感されてもいる。
 たとえば大阪市では、8月25日から新学期をスタートさせているが、児童・生徒の感染が相次いだことで、小中学校あわせて66校が臨時休校を決めている。札幌市では、40校あまりの小中学校が休校や学級閉鎖となっている。

 休校や学級閉鎖になっていなくても、新型コロナの感染予防のために登校を控える自主休校の選択も増えている。そうした子どもや保護者にとっても重要なのが、オンライン授業を受けた場合の取り扱いについてである。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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