両国の江戸東京博。

 

 11月4日まで、「特別展 士 サムライ 天下太平を支えた人びと」が開催されていました。幕末までの武士たちの生活と考え方にスポットを当てた展示でしたが、戦国時代のことにも少しは触れたものです。

 面白いのは、尾張徳川家の軍制について描かれた「大御先鋒日之丸御備」。大坂の陣の頃の軍陣編成を記録したものと思われ、六段目に控える渡辺半蔵は「槍半蔵」と恐れられ徳川家康の合戦に常に付き従った人物です。

 その横に、「ルウフル」と説明を書き加えられた男がいるのですが、これは拡声器。つまりメガホンです。実際、巨大メガホンとしか思えない黒いアイテムを、当該人物は抱えていますが、これはむろん西洋から入って来た道具で、遠方の兵と連絡を取り合うために重宝されたようです。

 今ならスマホですが、当時は直接音声のやりとり。陣太鼓などで進め退け程度はできても、細かい動きの指示はやはり声でないと何かと不自由ですが、鉄砲の発射音や鬨の声が満ちた戦場で聞き分けることは、果たして出来たのでしょうか。

「○○隊、早く前に出んかーーーっ!」とか、「××隊、敵が右に回り込んでくるぞーーーっ、気をつけろーーーーっ!」とか、咄嗟の際にはこれを抱えた大声に定評のある武士がのどから血を吐く勢いで叫んだのでしょうね。

 

 こちらは図録です。表紙は幕末の武士の写真ですが、昔の日本人の、この自分を抑えた緊張感というのは特別ですね。