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消費増税10%安倍内閣 vs 消費減税5%山本太郎
田原総一朗氏 × 望月衣塑子氏が斬る!

憲政史上最長「安倍政権」の行方②

「桜を見る会」疑惑が次々と浮上し、安倍内閣に厳しい目が向けられている。11月に憲政史上最長在任の首相となった安倍晋三氏という存在が、「安倍一強」と呼ばれた強引な政権の瓦解が、今、始まったのだろうか……。ジャーナリスト・田原総一朗氏と『「安倍晋三」大研究 』の著者で東京新聞記者・望月衣塑子氏の二人が、「安倍政権の正体」を暴く!(第2回)

●安倍政権の戦略の秘密とは? 消費税10%という分水嶺と野党

c) harada-besttimes 2019

田原・・・望月さんは安倍さんを過大評価していると思う。僕は安倍さんにはそんな戦略はないと思う。
 最大の問題は野党だよ。第2次安倍内閣になってから6回選挙があったけど、そのいずれもが安倍政権が勝っている。では、なぜ勝つのか。安倍内閣の経済政策アベノミクスはほとんど失敗しているにも関わらず、です。安倍さんは日銀の異次元金融緩和策で、お金をガンガン刷れば需要が拡大するとにらんだ。ところが、個人消費は目論見に反して、まったく拡大していない。借金ばかり多くなった。アベノミクスは成功しなかった。そんなこと野党各党の代表も国民も分かっているけどね。

 批判する野党に、安倍さんは「アベノミクスがダメだというなら、あなた方が政権を取ったら、どのような経済政策なのか、対案を出せ」と切り返してくる。ところが野党からはアベノミクスに代わる経済政策がまったく出ないわけだ。これでは、安倍さんの一人勝ちになるのは目に見えている。安倍政権の高支持率の秘密はここにあると、僕は思う。

望月・・・なるほど。安倍政権は経済政策を打ち出せない野党の弱点を知悉した政権運営をしているわけですね。
 れいわ新選組山本太郎さんに話を聞くと、消費税増税ではなく、消費税減税をすることで公務員の正規雇用が進んでいくといいます。アメリカやヨーロッパの先進国並みに対国民の公務員数を増やすことが、公共サービスの福祉充実に繋がれば、国民の生活にゆとりが生まれる。共産党も言っていることですが、消費税増税は、法人税の減税分の穴埋めに使われています。市民に負担を課して、大企業にはひたすら優遇。私は、山本太郎さんが指摘するように税負担の公平性を考えていくためにも、大企業には法人税をしっかり課していくことが必要だと思いますね。経団連や一部の経営者にとって非常に都合のいい政策が続いています

田原・・・都合がいいのは経団連だけ。法人税増税は野党連合側も反対だ。山本さんのれいわは、消費税廃止、他党との共通政策では5%、立憲や国民民主は8%据え置き。
 もっとも、民主党政権の野田政権では消費税を10%に引き上げると言っていた。それが、どうして今になって10%反対なのか。
 安倍さんが、かつて消費税を8%にした時、僕は安倍さんに「なぜ8%なのか?」と聞いた。そしたら「10%に引き上げたら選挙に負けます」と言った。そして今回、ついに消費税を10%に引き上げた。一方で10%にすると言っていた民主党政権は、政権から転がり落ちて分党した途端、今度は消費税10%を反対し始めた。立憲、国民は、論理的に破綻していると思う。

望月・・・枝野さんたち立憲は、消費増税と軽減税率のカップリングは社会のなかで混乱するかもしれないから反対だと言っていました。

田原・・・10%にすること自体は賛成なわけだ。玉木雄一郎国民民主代表は?

望月・・・玉木さんは、減税を含めた議論が必要かもしれないと初めて言いました。

田原・・・財務官僚だった玉木さんは民主党の時に消費税10%だと言っている。今になってどうして急に減税になるのか。

望月・・・まあ、確かにそうです……。
 枝野さんがはっきり動けないのは。野田佳彦元首相とその周辺議員も含めて、もう一度、一緒にやりたいという考えがあるからだと思います。野田さんを入れるとなると、財務省側の言い分をのまなくてはけないということになり、難しいようですが。

田原・・・やっぱり。
 安倍内閣の支持率が落ちないのは、国民の多くが安倍内閣に代わる政党はないと思っているからだ。僕は、枝野さんや玉木さんに、「あなたたちは政権を奪取する野心はあるのか」と問いたい。そういう覚悟や戦略、戦術、構想がまるで見えない。

望月・・・確かにそうですね。崩壊した民主党は、崖から落ちてしまった後、立憲、国民に分裂しましたが、「再起を図るぞ!」という気迫がもっと欲しいところです。

田原・・・なぜだろう。

望月・・・立憲は、希望の党の時に、このグループから外されるところからスタートしました。枝野さんは非常に賢い、骨のある政治家だと思うのですが、政権奪取という気迫がまだ弱いようにも感じます。

田原・・・賢くないよ。小池百合子都知事が希望の党をつくった時、自民党はすごい危機感を持っていた。自民党の幹部たちは、「次の選挙で自民党が290席を取れなかったら安倍さんは終わりだ、次は誰がいいだろう」と相談にまで来た。
 ところがそこで、小池さんが民主党議員の“排除発言”をした。「民進党出身者を公認するには、政策や理念が合わなければ排除する、リベラルはだめだ」と。これで希望の党は分裂してしまった。民主党の本性が見えた瞬間だった。枝野さんは排除されて出て来た人で、立憲はそれで出来た政党。もう一方で、玉木さんはゴリ押して排除する側だった。だから、どちらも支持されない。

望月・・・自民党に対する対立軸が鮮明に出ているのは、山本太郎さんのれいわ新選組が分かりやすいと思います。

田原・・・山本さんが分かりやすいのは消費税を5%にして、その代わり法人税や累進課税を上げると言っている点。
 安倍さんは消費税を8%に上げる時に、法人税と累進課税を下げたよね。東京新聞は消費税反対、法人税増税賛成だった。

●メディアは「官房長官には、もう取材しない!」というべきだった!

望月・・・逆進性の高い消費税増税でなく、法人税増税をすべきと思います。

田原・・・安倍さんは、消費税増税をしながら軽減税率を支持した。東京新聞は軽減税率に賛成しているよね。

望月・・・……新聞協会として賛成しています。

田原・・・東京新聞は消費税も軽減税率も反対だと言わないとダメだと思う。

望月・・・国会議員から、「新聞は消費増税反対と言いながら、新聞の軽減税適用をしている、姑息だ」と指弾されました。
 確かにネット社会になったいまの時代、新聞は生活必需品なのかという批判はあると思います。消費税8%におさまっているのは、世の中の人の感覚にはマッチしていない気もします。

田原・・・もっと言えば、東京新聞も含め新聞はみんな部数が落ちている。かつて読売新聞は1000万部、朝日新聞は800万部を謳っていたのが、朝日なんていまや600万部を切っている。東京新聞は100万部以上、出ていないよね。
 新聞の発行部数はなぜ、落ちているのか。

望月・・・新聞は、高齢者層は取りますが、30代40代が新聞を取らない。

田原・・・何で取らないと思う?

望月・・・ネットで充分という感覚がかなり根づいていますね。

田原・・・だったら、望月さんは、どうして新聞社にいるのか?

望月・・・私ですか? 日本は記者クラブ制度が固定化しています。新たなニューメディアといわれるビジネスインサイダーや、バズフィードなど色々出ていますが、彼らのような新興メディアやフリー記者は、取材したくても各省庁のクラブに入って担当者にガンガン取材することが難しいのです。検察や法務省に入り込んで取材したいと思うと、記者クラブに所属していないとなかなか難しいのが実情です。

田原・・・望月さんは菅官房長官に何度も何度もしつこく質問して、官邸から虫唾が悪いと謗られた。あの時、「(そんなことを言う方が)おかしい! もう官房長官には取材しない」というべきだった。なのになぜ、望月さんを記者クラブは裏切ったのか。擁護してくれなかったことをどう思っている?

望月・・・ご存知の通り、官房長官の会見は内閣記者会です。私は社会部なので、普段そこに行っていません。あのクラブに私は所属していないのです。でも、申請さえすれば、社会部でも官邸で取材が出来るのです。ただ、私が内閣記者会に所属していたら、多分もっと叩かれたと思いますが。

田原・・・僕は、安倍内閣の誰かが、記者クラブに頼んでいたと見ている。そうして社会部は安倍内閣を批判するけれど、政治部はほとんどしないということになった。政治部は本当にだらしなくなった……。

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「安倍晋三」大研究
望月衣塑子&特別取材班(著)

憲政史上最長も見えてきた安倍政権。
閉塞感が続く日本の政治だが、安倍政権のどこが問題なのか? 政治家・安倍晋三とは何者なのか?
いま知っておきたい日本の政治で起きていること、日本の未来。

THE 独裁者 国難を呼ぶ男! 安倍晋三
古賀茂明・望月衣塑子(著)

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