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【一斉休校無し? 抗原検査キット?】コロナ禍での新学期で学校と子どもたちはどうなるのか

第93回 学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

一斉休校


 全国一斉の臨時休業は要請しないと断言する文科省。「抗原検査キット」を小中学校に配布すると語る総理。夏季休暇の延長に踏み切る自治体…。新学期の開始時期において、ますます混乱しているように見える教育現場はどうなっていくのだろうか。


■一斉休業の要請は考えていないようだが…

 学校はどこまでやればいいのだろうか。どこまでやらされることになるのだろうか。
 新型コロナウイルス(新型コロナ)の感染が子どもにも急拡大していると言われる中、学校の負担もどんどん増えていきそうな状況である。
 萩生田光一文科相は8月20日の会見で、「国から全国一斉の臨時休業を要請することは考えておりません」と断言した。最初の緊急事態宣言発出に合わせて行われた、昨年の全国の学校を一斉臨時休業(休校)させるようなことはしない、というわけだ。

 当時は突然の臨時休校によって仕事を休まざるをえない保護者も多かったため、社会的に大きな混乱を引き起こした。そうした経験を踏まえての判断なのだと思われる。
 しかし、学校内の感染状況にあわせて、「設置者の判断により、感染が広がっている恐れの範囲に応じて、保健所等と相談のうえ、学級単位や学年単位など必要な範囲で臨時休業を行うことは当然考えられます」とも述べている。休業も選択肢に含まれているのである。

 とはいえ、同じ日に文科省は全国の教育委員会などへ向けた事務連絡で、「地域一斉の臨時休業は、当該地域の社会経済活動全体を停止するような場合に採るべき措置であり、児童生徒等の学びの保障や心身への影響等の観点を考慮し、慎重に検討する必要があること。地域一斉の休校は慎重に検討する必要がある」との考えを示している。地域一斉の臨時休業は地域の社会経済活動全体を停止する場合だけであり、つまり「学校の都合だけで判断して実行すべきではない」と言っているようにも受け取れる。

 地域の経済活動全体が停止する事態は、そうそう考えられないのだから、「学級単位や学年単位など必要な範囲」での臨時休業に留めるべきだということだろう。

 また、事務連絡には「学校は、学習機会と学力を保障する役割のみならず、全人的な発達・成長を保障する役割や居場所・セーフティネットとして身体的、精神的な健康を保障するという福祉的な役割をも担っている」と記されており、学校には「福祉的な役割」もあると強調している。そのために「居場所・セーフティネット」の役割を果たさなければならないというわけである。
 学校が居場所・セーフティネットの役割を果たすことで地域経済の安定も保たれるということなのだろうか。つまり、保護者が働ける環境を確保するために、学校は福祉的な役割を果たすべきだと言っているように読める。

 学校が「3密(密集、密接、密閉)の場」であることは、まったく変わりない。福祉的な役割を果たすには、かなり困難な環境であることも確かなのだ。
 
 学校にしてみれば、文科省が言うような「学級単位や学年単位など必要な範囲で臨時休業」と悠長なことは言っていられない状況でもある。
 25日に始業式が予定されていたにもかかわらず8月31日まで夏休みの延長を決定している自治体も相次いでいる。始業式後の分散登校を決めている学校も少なからずある。
 文科省は地域一斉の臨時休業には積極的ではないのだが、自治体や学校はすでに独自に動きはじめているのだ。

 

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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