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花のお江戸で戦国めぐり②芝・増上寺近辺の壱

季節と時節でつづる戦国おりおり第400回

 

駒大を後に、仕事先の浜松町へ。渋谷で山手線に乗り換えです。浜松町の仕事が終わったら、その足で西へ向かいましょう。目標は東京タワーです。

 

 結構な距離を歩いた印象ですが、実際は1キロそこそこなんですね。若干昇り勾配になっているためでしょう。

 

 到着しました、芝の増上寺。裏門から入りました。こちらの宝物展示室では、12/23まで「聖冏上人600年遠忌・観智国師400年遠忌記念展「聖冏(しょうげい)上人と増上寺開山聖聡(しょうそう)上人/増上寺中興観智国師(かんちこくし)と徳川家康」を開催しています。

 

 普光観智国師は諡号(しごう。おくりな)で、在世時は字(あざな)・慈昌(じしょう)、法名・存応と名乗り、源誉とも号しました。

 天正18年(1590)、家康が秀吉によって転封され関東に入った時に増上寺の住持だった観智国師が出迎えて以来、江戸における徳川家の菩提寺となった経緯がありますが、これについて司馬遼太郎氏は作中で「存応は世間師だった」的な記述をしていました。

 まぁそのあたりは解釈次第ですが、三河岡崎の菩提寺・大樹寺と同じ浄土宗の増上寺を、家康が保護するのは当然だったでしょう。観智国師も大樹寺からそれ相当に「よろしく頼む」的な連絡を受けていたでしょうし。

 逆に観智国師の浄土宗、天海の天台宗、崇伝の臨済宗と、バランス良く側に置いた家康のバランス感覚には、感心させられます。

 展示品には、ちょっと他では見られないタイプの家康肖像画もあり、納得できる内容でした。図録・目録が無いのが少し残念ですかね。

 

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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