仕方ないとあきらめて、できるだけ政治から距離をとっている現在の日本人。保守主義者・作家 適菜収さんと共産主義者・衆議院議員 清水忠史さんに何を問題提起して、何を語りかけて、どうしたい語り合ってもらった。(『日本共産党 政権奪取の条件』適菜収、清水忠史/KKベストセラーズ より)

■ニヒリズムをどう乗り越えるのか

 

清水 今、僕たちは安倍や維新の会のようなものが表舞台に出てきた時代に生きているわけです。これをどうするのかと。ニヒリズムに落ち込んで、仕方ないとあきらめて、できるだけ政治から距離をとって、自分たちのことだけを利己的に考えて生きていけばいいのか。適菜さんは、そこで何を問題提起して、何を語りかけて、どうしたいのですか?

適菜 私が言いたいのは、現実を直視して、何が発生しているのかを考えない限り、何の解決にもならないということです。そして気付くのが遅すぎるということです。ひとつは清水さんのおっしゃるニヒリズムです。すでに政治家は嘘をつくのが当たり前だくらいの感覚になってしまっている。財務省の公文書改竄、防衛省の日報隠蔽、厚生労働省のデータ捏造とやりたい放題です。こうした状況になっているのは、国民の意識が腐っているからです。安倍個人の資質の問題にしても仕方がないし、本質的な解決にはならない。

清水 それではどうするんですか?

適菜 近代大衆社会の構造について警告を発してきた人たちの判断が正しいなら、ハードランディングしかないでしょう。先ほども言いましたが、首相補佐官の礒崎陽輔が「法的安定性なんてどうでもいい」と言った時点で日本は壊れているんですよ。平成の三〇年はこの繰り返しでしたが、安倍政権になってからは完全に狂気の域に落ち込んだ。北方領土問題でも安倍は大嘘をついてますね。二〇一八年九月の国際会議「東方経済フォーラム」でプーチンは、平和条約締結後に二島の引き渡しを明記した日ソ共同宣言に言及した上で、「前提条件をつけずに年内に平和条約を締結し、すべての問題の議論を続けよう」と発言した。これは日本とロシアが積み重ねてきた交渉のすべてを反故にするものであり、日本のトップなら、当然毅然とした態度で「冗談ではない」と言わなければならない場面でした。しかし、安倍はなぜか満面の笑顔をつくり、ヘラヘラと笑っていた。この安倍の態度が大きな問題になると、安倍は国会で「プーチン氏の平和条約締結への意欲の表れだと捉えている」と支離滅裂な説明をはじめ、さらにはNHKの番組で、プーチンに対し「北方領土問題を解決した上で平和条約を締結するのが日本の原則」だと直接反論したと発言します。しかし、ロシアのペスコフ大統領報道官は「安倍首相本人からは何の反応もなかった」と証言。ロシア側が嘘をつくメリットはなにもありません。いつものように、安倍がその場をごまかすために嘘をついたのです。