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安倍政権と皇室、そして天皇制について
~適菜収と清水忠史が語る~

日本を滅ぼした安倍政権①

■皇室について

 

清水  僕が入党したとき、日本共産党は天皇制廃止を唱えていました。党の政策として君主制を廃止すると。

適菜  今でも、民主共和制の実現をはかるべきだと言っていますよね。

清水  でも、今の日本がおかしいのは天皇制があるからではないと認めた。たしかに戦前は天皇に絶対的な権威があったので、いろいろな矛盾が発生したけど、今は違う。オスプレイが飛ぶのも、消費税が上がるのも天皇制のせいではない。今の天皇は国権に関する権能を有さない。政治的な影響力はありません。エリザベス女王は施政方針演説をやったり、緊急時の首班指名ができるから政治的権力はありますが、日本は象徴天皇です。天皇制のもとであっても、世の中をよくすることはできるという日本共産党の認識の発展があった。だから、憲法も天皇条項を含めて、全部守ると。国会の開会式にも出ると。これはある意味での踏み込みでした。

適菜  一方、皇室に対して一貫して不敬な態度を取り続けているのが安倍政権です。二〇一六年八月に、天皇陛下(今の上皇)が「お気持ち」を表明されると、官邸は、宮内庁長官の首をすげ替えた。明らかな嫌がらせです。しかも安倍は被災者の方々に寄り添う天皇陛下のものまねをして、茶化してみせた。これは亀井静香が明らかにしていますが、安倍の皇室に対する憎しみは普通ではないですね。橋下もかつては大統領制を唱えていた。安倍と橋下維新が組んで改憲すれば、皇室が潰される可能性がある。だから日本共産党は「皇室護持」を打ち出したほうがいい。それとこれまでの皇室に対する態度を、党として一度きちんと謝罪したほうがいいのではないですか?

清水  実はそういうつもりはありません。

適菜  ははは。

清水  それでも、天皇陛下の出席する開会式にも出ますし。さすがに園遊会には行ったことはないですけども。東日本大震災のときに、天皇が被災地を慰問したことについては、党のトップが「非常に共感します」とコメントを出している。今の天皇(上皇)は平和主義者です。だから、安倍は天皇を毛嫌いしている。天皇は、沖縄や平和の問題についても、政治的枠組を超えないところで、最大限の努力をされていると思う。そこは僕もお慕いしているところがあります。民主党政権のときに、小沢一郎氏が習近平と天皇を無理矢理会わせたでしょう。僕ら、天皇の政治利用だと批判したんですよ。

適菜  私も雑誌の記事で批判しました。小沢は天皇陛下を完全に子分扱いです。小沢は「天皇陛下ご自身に、オレ、聞いてみたら必ず『それは手違いで遅れたかもしれないけれども会いましょう』と、私は天皇陛下は必ずそうおっしゃると思うよ。わかった?」と発言。慣例を破る形で天皇陛下と習近平が会談することについては、「内閣が判断したことについて、陛下がその意を受けて行動なさるのは当然のことだ」と。この直前に、小沢は崔天凱駐日中国大使と会い「何とかして習副主席が天皇陛下と会えるようにしてほしい」との要請を受けています。宮内庁は天皇陛下の体調不良を理由に会談を断りますが、民主党政権は強行。これに対し、宮内庁長官の羽毛田信吾が「陛下に心苦しい思いでお願いした。二度とこういうことがあってはならない」と皇室の政治的利用に懸念を示すと、小沢は「何とかという宮内庁の役人がどうだこうだ言ったそうだけれども、まったく日本国憲法、民主主義というものを理解していない人間の発言としか思えない」「天皇陛下のお体がすぐれないと、体調がすぐれないというのならば、それよりも優位性の低い行事を、お休みになればいいことじゃないですか。そうでしょ、わかった?」と恫喝した。「天皇がオレの命令に従うのは当然だ」というわけです。

清水  あれはやってはいけなかった。

適菜  左翼の一部が「安倍は戦前回帰を目指す天皇原理主義者だ」と言ってましたが、バカにも限度がある。安倍や小沢、橋下、石原慎太郎といった連中から、われわれ日本人は皇室を守らなければなりません。

KEYWORDS:

『日本共産党 政権奪取の条件』
適菜 収、清水 忠史

 

日本共産党とは相いれない部分も多い。
私は、共産主義も新自由主義と同様、近代が生み出した病の一環であると考えているからだ。
日本共産党が政権を取る日は来るのか?
本書で述べるようにいくつかの条件をクリアしない限り、国民の信頼を集めるのは難しいと思う。
そこで、私の失礼な質問にも、やさしく、面白く、かつ的確に応えてくれる
衆議院議員で日本共産党大阪府委員会副委員長の清水忠史さんと
わが国の現状とその打開策について語った。
――――保守主義者・作家 適菜 収

 

作家・適菜収氏との対談は刺激的であった。
保守的な論壇人としてのイメージが強く、共産主義に対して辛辣な意見を包み隠さず発信してきた方だけに、本当に対談が成り立つのだろうか、ともすればお互いの主張のみをぶつけ合うだけのすれ違いの議論に終始してしまうのではないかと身構えたのだが、それは杞憂に終わった。
――――共産主義者・衆議院議員 清水忠史

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  • 2019.07.08