24.5%が「帰省する」! 政治とテレビのWスタンダードで、日本人は同調圧力から個人主義へ【松野大介】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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24.5%が「帰省する」! 政治とテレビのWスタンダードで、日本人は同調圧力から個人主義へ【松野大介】

 

 私たち国民は今まで政府やマスコミの意向通り、我慢を続けてきた。失業者や自殺者が増えても、部屋で自粛した。

 今、外出している人たちには「業務上、出社の必要がある」「稼がないと家族を養えない」「学費ローン返済のためのバイト」など補償の乏しさが理由の金銭的問題がある。

「これ以上、部屋にいたら家庭不和(DV含む)になる」「子供が欝に」「人に会いたい」など精神的な理由の人もいるだろう。

 加えて、「なんで五輪やってるのに私たちは働いちゃいけないのか」「なんで医療を守るために我慢を続けるのか」「政治家やテレビマンは宴会やってる」という怒りもある。

 今まで私たちは「マスクしろ」「店を開けるな」「外出るな」とテレビが作った同調圧力と、ムラ社会的な日本人の性格によって互いを監視したり、「みんなで我慢しましょう」と協力し合ってきた(少し全体主義的だった)。

 今は、各自が新型コロナの情報をある程度認識した上で感染対策をとりつつ、自分の生活費のため、自分の大切な人のために、自分で生活スタイルを決める人が増えた気がする。

 大げさに言えば、アナキズム(不本意で強制的なヒエラルキーに反対する哲学)的な怒りに端を発し、「勝手に生きる」という個人主義的な行動を始めた。無責任なわけではない。ルール違反はしないが、こんな政府から生き抜くための策として各自が選んだと思う(私の見解です)。

(追伸)帰省の理由は「レジャー」だけではなく、「高齢な親と会える少ない機会」「介護がある」などの事情もある。ワクチン接種の有無も帰省の決断に影響があるが、興味深いのは、新型コロナ死亡の約8割は高齢者であるのに、高齢な親に会いに(孫と会わせるために)帰省する人が少なからずいること。今後は「感染しなければ誰にも会わなくていいのか」という人生の価値観や死生観も問われ始めると思う。

 4人に1人が帰省したかどうかは、週末にわかる。

 

文:松野大介

 

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

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