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コロナ・インフォデミックで露になった子供の不幸せ度

子供の重症化リスク「ほぼゼロ」なのに……


9月初旬、国連児童基金(ユニセフ)が先進・新興国の子供の幸福度の調査を公表し、「精神的な幸福度」で日本は生活満足度の低さ、自殺率の高さから38ケ国中、37位。理由は学校のいじめや家庭内不和など(https://news.yahoo.co.jp/pickup/6370048)。それを受けて、5月からコロナの煽り報道を解説してきた元芸人の作家・松野大介氏が、コロナインフォデミックによる子供への悪影響に警鐘を鳴らす。


■煽り報道が隠した年代別データ

写真:PIXTA

 厚生労働省「新型コロナウィルス感染症の国内発生動向」(7/15時点)によると、年齢階級別で10歳未満、10代、20代は死亡数と重症者割合でともに0%(30代で0.1%と0.2%)。
 数で言えば死亡が20代で1人。言葉で表現すると「ほぼ0%」が妥当か。(確率は年代と共に上がり、70代の死亡率は14.2、80代は28.3)(※厚労省サイトに載らない、死亡後に感染が発覚したケースがあるかは未確認)
 コロナの実情を知った人が多く、再び陽性者が減ってきた今、テレビはコロナ報道を控え始めたが、煽り報道をしていた8月末まで、死亡・重症者の年代別データに触れることはほぼなかった。
 死亡者が減ってからはひたすら「感染者」(発症していない陽性者含む)の数をセンセーショナルに報じ、地域や飲食店を特定。8月には「部活でクラスター」「塾に通う小中学生陽性」と学校や塾も取り上げた。
 しかし6月上旬の時点で、国会で加藤厚労大臣は「国内においては子供はかかっても重症化しにくいという認識」と答弁している。冒頭の国内発生動向に加えて他国も若年層の死亡率の低さに共通点があるので、明確なデータのはずだ。
 なのにテレビはこのデータをできるだけ隠し、陽性者数報道に徹して、「感染=悪」と印象付けた。
 8/25、萩生田文科大臣は感染した子供や学校への差別を防ぐため、「感染者を責めないで」とメッセージを発した。
 もともとはテレビ報道が感染者を名指ししたり飲み歩く一般人を隠し撮りして批判し、その結果、自粛・マスク警察が現れ、「外に出るな」「マスクしろ」という大人同士の同調圧力を生んだのに、子供同士では「感染者を責めるな」と釘を打つ矛盾!
 この図式に、日本の子供の〃不幸せ度〃の根底があると思う。

■子供のコロナルールは正しいか

 8/24のニュースによると、WHOとユニセフは5歳以下の子供にはマスク不要と助言(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62966190U0A820C2EAF000/
)。子供が重症化しないデータも考慮したと思われるが、理由が「5歳以下は適切に使用できない」からという。マスクをイヤがるし、すぐ外すからだ。
 私は日本は、高齢者と接するケース等を除いた上で、この年齢を引き上げていいと思う。5月から評論で記したデータを見てほしいが、日本は世界的に見て感染拡大しなかったから(https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/616973/?utm_source=headlines.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=relatedLink)。
 日本の新聞報道によると、自粛の影響で休校明けに子供のケガが増え、中には鬼ごっこで骨折する児童もいたとのこと。
 私は過渡な自粛、リモート授業、学校でのマスク、フェイスシールド、アクリル板使用、生徒間を1メートル空けるなどを「子供に強制するな」と意見したいわけではない。それらが医療対策である以上、「意見」よりも、専門家がデータから出す科学的な「効果」が優先されるべきだから(しかし未だにマスクにさえ科学的な見解が出されないことは批判したい)。
 それに子供は新しいルールに順応性が高いとも思っている。
 問題なのは、大人たちが、学校や塾や習い事教室やマンションや近所など“自分が関わる場所”から陽性の子供が1人でも出て「マスコミに名指しされるのは困る」という理由で、子供同士の触れ合い、遊びなど行動の制限を強めることだ。
 自分の子供を感染者にしたくない、うちの学校の生徒が感染源になったら責任をとらされる、集合住宅から感染の子供が出たら住人に責められる……。
 コロナという病気の感染対策に、「名指しリスク」回避のためという理由が含まれれば、これも過剰なコロナ報道の影響が導いたもの。今は子供が重症化するリスクはほぼゼロだと誰もが知っているのだから。(純粋に子供の体を考えての対策だと言う人は「コロナの年代別データ」を鑑みて、対策による子供の健康と精神の影響を考慮願いたい)

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年タレントデビュー。多数のテレビ・ラジオに出演。95年、『文學界』新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書多数。

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