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ヒントは古代ギリシア。「自分らしい生き方」をロボットやAIが実現する理由

自律的な生き方を達成する。

■ロボットやAIが人間を自由にする可能性

 

 ロボットといえば、日本では人型のイメージが強い。だが、本来は人の代わりに自律的に作業をする機械のことなので、必ずしも人型だけとは限らない。工業製品の生産や調理など、現在では様々な産業の現場でロボットが導入されている。これらの作業は元々は人間が働いて担っていたものだから、ロボット技術が発達して、様々な産業に普及していけば、それだけ人間の職が奪われることになるのではないか……まして、高度なAIが搭載されれば、なおさら……と、危惧を感じる人も多いだろう。

 特に、単純労働や事務仕事は、近い将来、ロボットやAIに代替されるようになるかもしれない。企業としては、人件費を節約できて、コスト削減となる場合もあるだろう。長時間労働も可能となるから、人手不足が問題となっている昨今の状況を考えれば、願ったり叶ったりだ。だが、人間が働く場が失われれば、失業も増えてしまう可能性も考えられる。

 しかし、そういった現象は本当に人間を困らせるものなのだろうか。むしろ、哲学的に考えると、ロボットやAIの発達と普及は、人間を自由にする可能性がさえあるのではないか。

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大賀 祐樹

おおが ゆうき

1980年生まれ。博士(学術)。専門は思想史。

著書に『リチャード・ローティ 1931-2007 リベラル・アイロニストの思想』(藤原書店)、『希望の思想 プラグマティズム入門』 (筑摩選書) がある。


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