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女心と秋の火事

季節と時節でつづる戦国おりおり第451回

 木枯らしが吹き、道路も落ち葉で彩られる季節がやって参りました。空気が乾燥して指先も肌もカッサカサ。おまけに目までシッバシバ。年を取るとどこもかしこも潤いが無くなるので、ニベアだリップクリームだ目薬だとなにかとめんどくさい日々のルーチンを繰り返さなければなりません。特に冬場は乾燥による失火の警戒レベル3ですから、「火の用心」で気を引き締めて参りましょう。

 そこで、今回は今から410年前の慶長15年10月9日(現在の暦で1610年11月24日)の一件をご紹介します。この日、駿府城で火事発生。徳川家康の隠居城、駿府城で火事がありました。この火事で家康側室の阿茶局の部屋の廊下や彼女の財産が焼け、二ノ丸に飛び火して若干の被害を及ぼしています。

『当代記』には、上台所の梁の上、大黒柱の上から出火したが、火が出るような場所ではないのが不思議で、太い木材が急に炎をあげるとも考えづらいから、何日か前からくすぶり続けていたのだろうか、三日以上前から煙が出ていたという話もあるようだ、と不審が綴られていますが、〆は「これはひとえに女の業となり」。

 いや、いくらなんでも不思議だから男には理解不能の女性の心理のせいにしてしまえ、とはひどいじゃないか、とは思いますが、今も昔も、女心は面妖なものであるようです。

駿府城

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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