「子どもの理不尽な言動に耐える教師たち」このまま放置でいいのですか?⑴【西岡正樹】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「子どもの理不尽な言動に耐える教師たち」このまま放置でいいのですか?⑴【西岡正樹】

教師に対する理不尽な言動が低年齢化している理由


「小中高校生の暴力行為、過去最多の9万5千件 20年前の2.8倍に」朝日新聞(2023年10月4日)によれば、「文部科学省が実施する「児童生徒の問題行動・不登校調査」の2022年度の結果が判明した。国公私立の小中高生による暴力行為は計9万5426件。前年度から24・8%増え、過去最多となった。近年は増加幅が大きく、20年前の2・8倍となった」と。

さて、学校現場で本当に起こっているホラー話をお伝えしよう。子どもが起こす理不尽な問題行動を学校や教師の責任にして、公教育現場がおざなりにされている現状についてだ。「学校で何が起きているか」に真に向き合わないこの国の社会というのは一体何なのか? 小学校教員歴40年の西岡正樹氏が語る「いま学校で起きている、壊れゆく子どもと教師の関係性」パート1を公開。学校現場はまさしく大人社会の縮図なのだ。


写真:PIXTA

 

◾️子どもが教師や支援員へ理不尽な言動を行う瞬間

 

 音楽の授業が始まる。今日はリコーダーだ。多くの子どもたちは楽しみにしている。3年生から始まるリコーダー。子どもたちは大事そうにリコーダーを持ち、わくわく感を表に出しながら音楽室に向かう。しかし、その中に、音楽に興味を持てない、苦手な子どもも少なくない。音楽室に入るや

「やりたくない」

「どうして、こんなことやんなくちゃいけないの」

 苦手な子どもは、ぶつぶつ言いながらリコーダーを出している。

 それでも、やってみたら「リコーダーって案外簡単だ」という感覚をつかんだ子どもから、その姿がどんどん変わっていく。そして、

「先生、変な音が出るんだけど、どうしてですか?」

 どうすればできるようになるのか、訊きに来るようになったら、もう大丈夫。子どもたち同士繋がりながら、自力で上達していくのだ。

 しかし、それと同時に、時間が経ってもうまくできない子どもや納得した音が出せないことにイライラし始める子どもが目に付く。そのような子どもの様子をうかがっていると

「ん、もう、なんで!」

 今にも振り落としてしまいそうな勢いでリコーダーを上下に動かしているかと思えば、座ったまま強く足踏みをし始めたではないか。「ドンドンドン」リコーダーの音に混じった大きな音は不穏な空気を生み出した。

 このような状況になった時には、個人対応を余儀なくされる。それを怠ることで、その後の対応が何倍も難しくなることを、教師は自覚しなければならない。(音楽に限らず)もし対応を怠ったならば「子どもの言動はさらにエスカレートし、様々なやり方で自分のいらいらを発散し始める」というのが、この20年間の傾向なのだ。

 「こんなことなかったな」と思う方々は、子どもの頃を思い出して欲しい。苦手なことをやらなければならない状況に陥ったら、なるべく目立たないように行動し、この時間がなんとなく過ぎていく方法を見つけようとしたのではないだろうか。または、隣のできる女子に導かれながら、一応、なんとなく形になるように目立たず頑張った自分の姿を思い出すのではないか。(男の子目線)

 しかし、今の状況は違う。確かに、目立たず、それなりに頑張りながら事が済むのを待ち続けている子どもたちも大勢いるのだが、自分の苦手なことやできないことに「頑張れない子ども」や自分ができないことに「我慢できない子ども」が多くなっているのだ。

 それは音楽の教科に限ったことではない。我慢できない子どもたちはどのような時にも

「つまんない」

「やりたくない」

「どうしてこんなことやらなくちゃいけないの」

という言葉を教室中に響き渡たらせる。

「大きな声を教室に響き渡らせる」「つまらない、できないから離席する」そして「教室を出てしまう」など、「苛立ち」から始まった子どもの迷惑行為は、放置しているとどんどんエスカレートしていくことを以前書かせてもらった。しかし、このような行為は、授業に対する迷惑行為、他の子どもたちへの迷惑行為に留まらず、教師や支援員への理不尽な言動へと広がっている現状を、私はとても憂慮している。

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西岡正樹

にしおか まさき

小学校教師

1976年立教大学卒、1977年玉川大学通信教育過程修了。1977年より2001年3月まで24年間、茅ヶ崎市内の小学校に教諭として勤務。退職後、2001年から世界バイク旅を始める。現在まで、世界65カ国約16万km走破。また、2022年3月まで国内滞在時、臨時教員として茅ヶ崎市内公立小学校に勤務する。
「旅を終えるといつも感じることは、自分がいかに逞しくないか、ということ。そして、いかに日常が大切か、ということだ。旅は教師としての自分も成長させていることを、実践を通して感じている」。
著書に『世界は僕の教室』(ノベル倶楽部)がある。

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