◆糖質は悪者とは限らない

 私たちが食事をすると、そこに含まれる糖質は、すべてブドウ糖に分解される。ご飯もパンもじゃがいもも、あらゆる糖質は最終的には全部、ブドウ糖に分解される。
 そのブドウ糖が酸素と反応して、水と二酸化炭素とATP(アデノシン三リン酸)という物質が生み出される。このATPという物質をエネルギー源にすることで、私たちは脳や筋肉細胞を動かしている。ATPをつくれなくなるということは、すなわち死を意味する。
 酸素は地球上にいくらでもあるから心配ないが、ブドウ糖はそうではない。だから、生命維持のために、私たちの体には「糖質を摂る」という行動がもともとプログラミングされている。ご飯やパン、麵類などの主食や、お菓子など甘いものを食べると〝幸せ〟を感じるようにできているのだ。
 もっとも、そのプログラムが完成したのは、人類が誕生した大昔のことだ。飢えていた時代だからこそ、プログラムは極めてうまく作用した。
 一一世紀の医学者イブン・シーナは、「砂糖こそ万能薬である」と述べている。ほとんどの人が飢えて栄養不足状態だった頃、すぐにエネルギーになる砂糖を与えることで元気を回復することが多々あったのだろう。
 しかし、飽食の現代社会では、エネルギーとして使い切れないブドウ糖が余る。それによって、血糖値が上がりすぎたり、肥満を招いたりすることになるのだ。

◆カロリーでは太らない

 「太る」とは、一口に言って体内の脂肪が増えることだ。
 だから、これまで多くの人たちが、「油ものを食べると太る」と信じてきた。
 また、栄養学などの知識が増えると、「カロリーが高いものを食べると太る」と考えるようになった。
 いわゆる「一キロカロリー」とは、一〇センチ四方の容器に入れた水の温度を一度上げるために必要なエネルギーに相当する。このように、エネルギーはカロリーで計算するから、食べ物のカロリーがそのまま脂肪に直結すると考えたのだ。しかし、それは大きな間違いである。

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