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大井川鐵道の秘境駅めぐり

都会では味わえない変わった秘境の列車と駅

■秘境駅の多い大井川鐵道の旅

 あるテレビ番組で秘境駅について解説して欲しいとのオファーがあった。番組でロケに出かけるわけではなく、すでにある映像や写真を見せながら、出演しているタレントさんやアナウンサーに分かりやすく話をする仕事である。最近、秘境駅には縁がなかったので、比較的近いところにあり、番組で取り上げる候補の駅が複数ある路線ということで、時間をやりくりして大井川鐵道、とくに井川線を旅することにした。諸般の事情から日帰りなので、下車してゆっくり取材する時間はない。車内からじっくりと秘境駅を観察するのが精一杯である。

 

 JR東海道本線で金谷まで行き、大井川鐵道本線に乗り換える。SL列車ではなく、大井川鐵道を走る普通の電車に乗るのも久しぶりだ。ホームで迎えてくれたのは2両編成の元南海電鉄の車両である。かなりくたびれてはいるけれど、かえってローカル線らしくていい。11月の紅葉シーズンということもあって、かなりに乗っていた。SL列車と違って各駅に停まって行くので、小さな駅の表情が観察できて好ましい。

旧南海電車で金谷駅から出発

 次の新金谷で早くも大勢降りていく。後続のSL列車に乗るためだ。SL列車は、今では、新金谷始発になってしまったので、一駅だけ電車に乗る人がいるのだ。

 電車は大井川に沿って北上する。新金谷から15分程で神尾に停車。右側は大井川、左側は山が迫っていて人家の姿はない。集落まではかなり歩かなければならないようで、千頭までの大井川本線随一の秘境駅だ。人の気配がない代わりに山側には信楽焼の狸が大勢並んで電車を見ている。SL列車の初代専務車掌さんの発案で作られたもので微笑ましい。

神尾駅のたぬき
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