あおむろひろゆきのてくてく子育て日記〈第0話〉「やさしい時間」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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あおむろひろゆきのてくてく子育て日記〈第0話〉「やさしい時間」

漫画家・あおむろひろゆきが子育ての試行錯誤をイラストとともに伝えるほっこりエッセイ!

現在2歳の娘さんを持つ、いち会社員にして漫画家のあおむろひろゆきさん。この連載は、子育ての中で立ちはだかったちょっとした試練や、お父さんとしてはじめて経験する様々な出来事の中で、あおむろさんがどのように対処したり、乗り越えてきたのかについて、イラストとともにコミカルに伝える、ほっこりエッセイです。

 

 

 

早いもので子どもが生まれて2年が経ちました。この連載を始めさせていただくにあたり、改めて育児日記を読み返しています。最近ようやく、ほんの少しだけ子どもとの向き合い方が分かってきたような気がするものの、子どもが生まれて1年くらいはもうとにかく毎日バタバタ。何もかもが初めての出来事でとにかく勝手が分からず、迷いと決断、悩みや感動を繰り返しながら毎日を過ごしてきました。

生後しばらくは、妻と子どもが病院に入院していたので、仕事帰りに毎日病院に通いました。駅から自転車に乗り市役所の通りを抜けてから、甘いニオイのするドーナツ屋さんの角を曲がると、そこに産院があります。病室の小さな窓からこぼれる光を眺めながら、自転車を停めて受付に向かいます。

面会時間は19時までなので、仕事が少しでも遅くなると面会時間も極端に短くなり、時には5分しか会えない事もありました。僅かな時間で子どもを抱きしめ、寝顔を眺め、妻に今日あったことを聞いて、時計の針が19時を指したら渋々病室を後にします。

胸がいっぱいのまま帰る家までの30分間の道のり。同じ場所でいつも吠えてくるかわいい犬がいたこと。大きな声で挨拶をしてくれるガソリンスタンドのおにいさんがいたこと。美味しいお豆腐屋さんがあったこと。とにかく嬉しくて、誰にも聞こえないくらいの小さな声で何度も子どもの名前を呼んだこと。その声が、夜空に吸い込まれていったこと。当時の事を改めて思い返すと、愛おしい記憶ばかりが蘇ります。

いつかこの子育てに奔走した思い出の全てが、愛おしくなってしまうのかな。嬉しいけどちょっぴり寂しいような、いろんな感情を混ぜ合わせながら、日々は続きます。

 

『あおむろひろゆきのてくてく子育て日記』第0話はいかがでしたか? 今回はプロローグということで、お子さんへの愛あふれるセンチメンタルな内容でお送りしました。次回からは、“初心者お父さん”のあおむろさんの試行錯誤にくすっとしながら、子育て日記をお楽しみいただければと思います。

続く第1話は、2週間後の3月4日(金)に更新予定です。なお、この連載は隔週金曜日の更新です。それでは、次回もお楽しみに!

 

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あおむろ ひろゆき

1982年、京都府生まれ。会社員、漫画家、イラストレーター。子どもの誕生をきっかけに、インターネット上にて子育て漫画の投稿を始める。2014年、「デイリーポータルZ新人賞」優秀賞受賞。


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