ドイツの艦隊駆逐艦はフランス、イギリス、ポーランドのそれをライバルとして設計されたため、概して重武装の傾向が見られる。Z1級からZ17級までは主砲に12.7cm砲を搭載していたが、特にZ23級とZ31級はイギリスやフランスの軽巡洋艦と互角に撃ち合えるように15cm砲が搭載された。

 クリークスマリーネは、建造に時間がかかる戦艦や重巡洋艦の必要予定隻数を揃える前に第二次大戦の開戦を迎えたため、それら主力艦の不足を補うべく、輸送船団の襲撃や数少ない戦艦の直掩などに駆逐艦戦隊を頻繁に用いた。

 また、第二次大戦の緒戦におけるノルウェー・デンマーク侵攻作戦「ヴェーザーユーブンク」では、日本海軍のガダルカナル島への鼠輸送(夢に終わった日本海軍の「漸減邀撃戦」を参照:2018年08月08日配信)と同じく、ノルウェーのフィヨルド深奥に点在する要衝に陸軍部隊を迅速に送り込む目的で、駆逐艦を用いて兵員と物資の輸送を行い高い評価を得た。しかし狭隘なフィヨルド内でイギリス海軍と何度かの死闘を交え、少なからぬ隻数の駆逐艦を失っている。

 日本ではあまり知られていないが、ドイツ駆逐艦は英仏海峡周辺や北海でイギリス駆逐戦隊や軽巡洋艦戦隊としばしば交戦しており、相応の戦果も得ているがかなりの犠牲も出している。また、有名なところでは巡洋戦艦シャルンホルストとグナイゼナウ、重巡洋艦プリンツ・オイゲンの主力艦3隻が英仏海峡を強行通過した「ツェルベルス」作戦での掩護や、北岬沖海戦でシャルンホルストがイギリス海軍に撃沈された「オストフロント」作戦での掩護などが、駆逐戦隊の出番としてあげられよう。

 ドイツの敗戦時、Z級はかなりの隻数が残存しており、それらはイギリス(4隻)、フランス(最終的に6隻)、ソ連(3隻)、アメリカ(2隻)などに接収された。そして、アメリカのように艦のコンディションが劣悪と判断して接収直後に自沈処分した国もある一方で、フランスやソ連は艦名を変更のうえ自国海軍に編入。戦後も一定の期間、第一線の艦として運用を続けている。