本田宗一郎が「最後に嘲笑されるバカ者」と喝破した人間とは | BEST TiMESコラム

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本田宗一郎が「最後に嘲笑されるバカ者」と喝破した人間とは

【連載】「あの名言の裏側」 第1回 本田宗一郎編(3/4)逆境を突破する力 人のことを笑っていて自分は何もしない人間は最悪だ

 このような調子で、本田氏は既得権益層や行政といった圧倒的な力を持っている相手に対しても臆することなく自らの主張を叫び、さまざまな理不尽や横暴に異を唱えることで、逆境を覆してきました。そうした本田氏のストレートな姿勢について、ときには身内からも苦言が呈されたり、口さがない連中から批判や揶揄の声が向けられたりすることも少なからずあったわけですが、本田氏はそれらの声に合理性を見出せないかぎり、傾聴することはなかったようです。

 本田の『俺の考え』という本のなかに、次のような記述があります。

 人間は神様ではないから、すべてをお見通しのような器用なことは到底できない。あっちへぶつかり、こっちへぶつかり、人に叩かれたり、柱へ頭をぶつけたりしながら、手さぐり足さぐりで前へ進んでゆかなければならない。
 私の過去などは、現在を成功というならまさに失敗の連続で、失敗の土台の上に現在がのっかっているようなものである。
(中略)
 だが、たとえ頭にコブをつくっても、膝小僧をすりむいても、坐ったり寝転んだりしている連中よりも少なくとも前進がある。 

 

 失敗したり、反論されたりすることを恐れて何もしなければ、たしかに傷ついたり攻撃されたりすることはないでしょう。ただし、それでは何も変わりません。そもそも、人はそんなに器用な生き物ではなく、往々にして失敗を繰り返したり、周囲と軋轢が生じたりするもの。それでも行動し、声を上げることが重要ということです。

 本田氏は、こう続けます。

 世の中では坐ったり、寝転んだりしている人間がケガをしたりコブをつくったりする人間をみて嘲笑するようなことがあるけれども、これは大変お門違いなことである。そういう連中は最後に嘲笑されることを知らぬバカ者なのである。
 

 自分では何ひとつ行動することもなく、まるで身を隠すようにして、安全なところから誰かを嘲ったり誹ったりする人は少なくありません。しかしこれは、実に卑怯な行為です。先の本田氏の発言は、自らリスクを取って行動することの大切さ、そして、真剣に行動する者に対して敬意を払えないことの醜悪さを、見事に喝破しています。

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漆原 直行

うるしばらなおゆき




1972年東京都生まれ。編集者・記者、ビジネス書ウォッチャー。大学在学中より若手サラリーマン向け週刊誌、情報誌などでライター業に従事。ビジネス誌やパソコン誌などの編集部を経て、現在はフリーランス。書籍の構成、ビジネスコミックのシナリオなども手がける。著書に『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』、『読書で賢く生きる。』(山本一郎氏、中川淳一郎氏と共著)、『COMIX 家族でできる 7つの習慣』(シナリオ担当。伊原直司名義)ほか。

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