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「消えるボールペン」はスタンダードになるか

30年間で文房具はこんなに変わった〈前編〉

■ボールペンは「消える」ように

 筆記具の中で変化が大きいものはボールペンである。

 昔ながらの油性ボールペンも、なめらかさが実は変わっているのだ。ノック式ボールペンも、様々なクリップの形を各メーカーが工夫を凝らし、作ってきた。かつてはワイシャツのポケットにしかはさめなかったものが、いまでは手帳やノートなど、もっと分厚いものにはさめるようになった。

 筆者はゼブラの4色ボールペンを長年愛用している。このモデルは、何度もモデルチェンジを繰り返し、使い勝手が変わっている。かつては分解しやすく、強度が弱かった。クリップも、いまのようにばねが組みこまれているということはなかった。

 それが現在では分解しにくくなり、強度もアップし、少しスリムになって使いやすくなった。さらにシャープペンシルを加えたモデルも登場した。

 油性以外のボールペンも新たな形があらわれた。水性ボールペンは30年前にはすでに登場していたが、初期のモノはキャップが必要であり、ノック式のように使いやすいものではなかった。海外製品は30年前からノック式のものがあったが、国産ではパイロットの「VボールRT」が2008年に登場した。

 1984年にはサクラクレパスが「ボールサイン」を開発し、ゲルインクボールペンが普及し始めた。ゲルインクボールペンは、追ってさまざまなメーカーが販売するように。さらさらとした書き味と、油性ボールペンのように残量を見ることができるという特徴をあわせもつ。これも最初はキャップ式のみだったが、1997年にノック式が登場し、爆発的に普及していく。

 さらには最近になってゼブラがエマルジョンインク(油中水滴型インク)を開発、広まりつつある。

 ボールペンのメリットでもあり難点は、消えないことであった。これは、パイロットが「フリクションインキ」を開発し、摩擦熱で消すことができるようになって解決した。ただし、摩擦熱で消えてしまうため、宛名などを書く際には使用してはいけない。このあたりの解決が、2040年には求められていくだろう。

後編では、書かれた文字を写し取る、「書かれるモノ」に焦点を当てる。

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小林 拓矢

こばやし たくや

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)、共著に首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(ともにSB新書)など。


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