【北海道の近代を開いた最古の鉄道 国鉄手宮線【前編】】 | BEST TiMESコラム

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北海道の近代を開いた最古の鉄道 国鉄手宮線【前編】

ぶらり大人の廃線旅 第23回

鉄道省『日本案内記 北海道篇』博文館発行 昭和11年第5版より

■西南戦争が終わって3年後に開業した鉄道

 小樽の手宮から植民地の首都・札幌を結ぶ鉄道が開業したのがこの明治13(1880)年であった。この鉄道は2年後の同15年に岩見沢を経由して石狩炭田の幌内まで延伸し、これにより石炭を積出港の小樽・手宮へ運ぶ近代ルートを完成させている。いわゆる官営幌内鉄道である。ちなみに最初の開業年である明治13年の時点で国内に存在した鉄道といえば、他に新橋~横浜(現桜木町)間と大津(後の浜大津)~京都~大阪~神戸間だけなので、明治新政府の北海道にかける意気込みの程が窺える。 

 明治13年(1880)といえば西南戦争が終わってまだ3年、近代国家を目指して矢継ぎ早に各方面の政策が打ち出されていた時分である。特にその前年に行われた「琉球処分」などは、大袈裟に言えば卑弥呼以来ずっと続いてきた中国(清朝)を中心とする華夷秩序からの離脱を意味し、それまでの東アジアを統御してきた体系を根底から覆す、まさに日本の西欧的近代化を象徴する出来事であった。その反対側に位置する北方でも、「北海道」の名が与えられたばかりの旧蝦夷地が、大日本帝国の植民地として経営が着々と進められていた時期である。

 
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今尾 恵介

いまお けいすけ

1959年横浜市生まれ。中学生の頃から国土地理院発行の地形図や時刻表を眺めるのが趣味だった。音楽出版社勤務を経て、1991年にフリーランサーとして独立。旅行ガイドブック等へのイラストマップ作成、地図・旅行関係の雑誌への連載をスタート。以後、地図・鉄道関係の単行本の執筆を精力的に手がける。 膨大な地図資料をもとに、地域の来し方や行く末を読み解き、環境、政治、地方都市のあり方までを考える。(一財)日本地図センター客員研究員、(一財)地図情報センター評議員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査、日野市町名地番整理審議会委員。主著に『日本鉄道旅行地図帳』『日本鉄道旅行歴史地図帳』(いずれも監修/新潮社)『新・鉄道廃線跡を歩く1~5』(編著/JTB)『地形図でたどる鉄道史(東日本編・西日本編)』(JTB)『地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み1~3』『地図で読む昭和の日本』『地図で読む戦争の時代』 『地図で読む世界と日本』(すべて白水社)『地図入門』(講談社選書メチエ)『日本の地名遺産』(講談社+α新書)『鉄道でゆく凸凹地形の旅』(朝日新書)『日本地図のたのしみ』『地図の遊び方』(すべてちくま文庫)『路面電車』(ちくま新書)『地図マニア 空想の旅』(集英社)など多数。


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