【西那須野から大田原へ・東野鉄道【前編】】 | BEST T!MESコラム

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西那須野から大田原へ・東野鉄道【前編】

ぶらり大人の廃線旅 第19回

栃木県北東部を走る東野鉄道の廃線を訪る

写真を拡大 国土地理院「地理院地図」に書き込み。図は平成29年(2017)6月21日現在

 栃木県の北部、東北本線西那須野駅から東へ分岐し、大田原(おおたわら)を経て黒羽(くろばね)方面を結んでいたのが東野(とうや)鉄道である。野州(やしゅう)の東部を走るからで、野州とは下野国(しもつけのくに)のことだ。

 なぜ下野で「しもつけ」と読むのかといえば、説明は少し長くなる。かつて上野国(こうづけのくに・ほぼ群馬県)と、この下野国(ほぼ栃木県)はまとめて毛野国(けぬのくに)と呼ばれていた。

 それを5世紀までに上下に分けたのであるが、当時は国名や郡名、郷名は必ず2字で表記する決まりがあり、上毛野国・下毛野国とするわけにいかず、「毛を剃って」上野国・下野国としたのである。読み方は「かみつ・けぬのくに」および「しもつ・けぬのくに」のはずだが、後に「こうづけのくに」と「しもつけのくに」に転じた。

 ついでながら毛野国を流れている代表的な大河であることから毛野川(けぬがわ)と呼ばれていた川が、今は鬼怒川(きぬがわ)と呼ばれている(中世~近世には衣川・絹川の表記も)。

 さて、野州の話であった。上野国は上州(じょうしゅう)でいいのだが、下野国を「下州」などとすると、どうも格好が悪いからか、上州で使わなかった野の字を使って野州にしたのではないだろうか。

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今尾 恵介

いまお けいすけ

1959年横浜市生まれ。中学生の頃から国土地理院発行の地形図や時刻表を眺めるのが趣味だった。音楽出版社勤務を経て、1991年にフリーランサーとして独立。旅行ガイドブック等へのイラストマップ作成、地図・旅行関係の雑誌への連載をスタート。以後、地図・鉄道関係の単行本の執筆を精力的に手がける。 膨大な地図資料をもとに、地域の来し方や行く末を読み解き、環境、政治、地方都市のあり方までを考える。(一財)日本地図センター客員研究員、(一財)地図情報センター評議員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査、日野市町名地番整理審議会委員。主著に『日本鉄道旅行地図帳』『日本鉄道旅行歴史地図帳』(いずれも監修/新潮社)『新・鉄道廃線跡を歩く1~5』(編著/JTB)『地形図でたどる鉄道史(東日本編・西日本編)』(JTB)『地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み1~3』『地図で読む昭和の日本』『地図で読む戦争の時代』 『地図で読む世界と日本』(すべて白水社)『地図入門』(講談社選書メチエ)『日本の地名遺産』(講談社+α新書)『鉄道でゆく凸凹地形の旅』(朝日新書)『日本地図のたのしみ』『地図の遊び方』(すべてちくま文庫)『路面電車』(ちくま新書)『地図マニア 空想の旅』(集英社)など多数。


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