【西那須野から大田原へ・東野鉄道【後編】】 | BEST T!MESコラム

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西那須野から大田原へ・東野鉄道【後編】

ぶらり大人の廃線旅 第20回

写真を拡大 国土地理院「地理院地図」に書き込み。図は平成29年(2017)6月21日現在

 

 

大田原駅跡はスーパーの廃墟

 

徐々に市街地の雰囲気に変わってくるが、県道を横切った少し先でクリーム色の大きな建物が近づいてくるにつれて、それが巨大な廃墟であることがわかった。スーパーであろう。後で調べてみると3年前の平成26年(2014)5月11日に閉店した「スーパーセンタートライアル大田原店」。それ以前は「大田原サティ」で、同店が平成15年(2003)に閉店した翌年に開業したという。

 

体力差のある小売店間の調整を行ってきた大規模小売店舗法(大店法)が米国の強い圧力で平成12年(2000)に廃止されて以来、スーパーの進出は全国的に盛んになったが、これで地元の商店街が壊滅的な打撃を受けた都市は数多い。いずれにせよスーパーは採算の如何でいとも簡単に撤退してしまうもので、結果がこの廃墟である。自由競争の生み出した典型的な風景というべきだろうか。

 

大田原駅跡にできたスーパーも今はその廃墟をさらすのみ。駅前の賑わいは遠い昔話である。

 

 

街中で昼食をとったが、旧市街の屋敷に附属した蔵は大谷石で造られたものが目立った。午前中の晴れ間が嘘のように雨になったが、その先にはトンネル跡が地形図にも描かれているので、それだけは確認したい。線路跡はしばらく道路の一部になっているようで、光真寺と龍泉寺の前を通過してトンネルへ続いているはずだ。

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今尾 恵介

いまお けいすけ

1959年横浜市生まれ。中学生の頃から国土地理院発行の地形図や時刻表を眺めるのが趣味だった。音楽出版社勤務を経て、1991年にフリーランサーとして独立。旅行ガイドブック等へのイラストマップ作成、地図・旅行関係の雑誌への連載をスタート。以後、地図・鉄道関係の単行本の執筆を精力的に手がける。 膨大な地図資料をもとに、地域の来し方や行く末を読み解き、環境、政治、地方都市のあり方までを考える。(一財)日本地図センター客員研究員、(一財)地図情報センター評議員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査、日野市町名地番整理審議会委員。主著に『日本鉄道旅行地図帳』『日本鉄道旅行歴史地図帳』(いずれも監修/新潮社)『新・鉄道廃線跡を歩く1~5』(編著/JTB)『地形図でたどる鉄道史(東日本編・西日本編)』(JTB)『地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み1~3』『地図で読む昭和の日本』『地図で読む戦争の時代』 『地図で読む世界と日本』(すべて白水社)『地図入門』(講談社選書メチエ)『日本の地名遺産』(講談社+α新書)『鉄道でゆく凸凹地形の旅』(朝日新書)『日本地図のたのしみ』『地図の遊び方』(すべてちくま文庫)『路面電車』(ちくま新書)『地図マニア 空想の旅』(集英社)など多数。


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