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「やり直し!」と言われないための仕事術

ミスの起きにくい仕事のやり方 トヨタ式で早く帰る③

「不良をつくるムダ」の真因を調べよ!

 では、こうした「不良をつくるムダ」をトヨタ式はどうやって解決するかというと、最終検査で見つかった不良品を手直しすることで良品にするのではなく、「なぜ不良品ができてしまったのか」という真因(表面的な原因ではなく本当の原因のことを「真因」と言います)を調べて、2度と同じような不良品ができないように改善をするというのがトヨタ式の解決方法になります。

 トヨタ式を取り入れている住宅メーカーA社のケースです。A社では営業マンがお客さまから「こんな家に住みたい」という要望を聞いたうえで設計に反映し、建設に取りかかりますが、いざ設計図ができ上がってみると、お客さまから「こうじゃないんだよなあ」「なんかイメージが違うなあ」というやり直しの声がいつも上がり、何度も設計をやり直したうえでようやく着工にこぎ着けることがしばしばでした。

 こうしたやり直しのムダを何とかできないかと考えたA社がいろいろ原因を調べたところ①設計前のヒアリングが不十分でお客さまの要望がうまく設計部門に伝わらない②設計部門のつくる図面が専門的過ぎでお客さまが十分に理解できない③建設部門が着工を急がせるためヒアリングや設計に時間をかけられない―などたくさんの原因が浮かび上がってきました。

 こうした状況を放置したままだと何度もやり直すことになるし、最終的には家を買うときに最高潮だったお客さまの「家が持てる」という喜びは建設が進むにつれて低下し、家を手にした時には「何か違う」となりかねません。そこでA社はやり直しにつながる原因を一つ一つ改善、お客さまの要望をしっかりと聞き、きちんと設計に反映できるようになったことでやり直しは格段に減り、お客さまの満足度も大きく改善することができました。

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桑原 晃弥

くわばら てるや

1956年広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者、不動産会社、採用コンサルタント会社を経て独立。人材採用で実績を積んだ後、トヨタ生産方式の実践と普及で有名なカルマン株式会社の顧問として、『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』(成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』(PHP新書)などの制作を主導した。著書に『スティーブ・ジョブズ名語録』(PHP文庫)、『ウォーレン・バフェット成功の名語録』(PHPビジネス新書)、『伝説の7大投資家』(角川新書)、『トヨタのPDCA+F』(大和出版)など。バフェット関連書籍多数。


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  • 桑原 晃弥
  • 2017.12.22