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早く帰りたければ「トヨタ式」に頼りなさい

知恵を出して働く人になる方法を学べ トヨタ式で早く帰る①

日本の生産性を上げるために。「ムダ」を省く

 元々トヨタ式は、戦後、日本の生産性はアメリカに比べて9分の1という低い水準にあると知った大野耐一氏(トヨタ自動車工業元副社長)を中心に、何とかアメリカに追いつく方法はないかと試行錯誤をする中から生まれてきたものです。

 根底にあったのはがむしゃらにがんばるのではなく、知恵を使い、ムダを省くことで生産性を高め、そして当時の自動車大国アメリカに負けない「良いものを、より早く、より安く」つくるという考え方でした。

 同じ人間がやる以上、9倍もの差がつくというのは「自分たちは何か大きなムダをやっているのではないか。お金はないが、知恵を使ってムダを省けば差を縮めることができるに違いない」という信念がそこにはありました。

 

 以来、トヨタは「知恵を出して日々改善する」を基本にここまで成長してきましたが、こうした成長をリードしたのは、アップルのスティーブ・ジョブズのようなスーパースターではなく、生産現場などで働く「ふつうの人」の知恵であり創意工夫なのです。トヨタが大事にしてきた言葉があります。

「1人の100歩より、100人の一歩ずつ」

 トヨタはふつうの人の知恵を引き出し、能力を最大限活用することで、今日のような大きな成功を成し遂げました。つまり、トヨタには、ふつうの人が働くうえで「生産性」を高めるための知恵がたくさんあるのです。

 たとえば、「時間がない」と嘆く一方で「ものを探す」ことに多くの時間をとられてはいないでしょうか? あるいは、「仕事のやり直し」に時間をとられてはいないでしょうか? 私たちが「仕事」と思って一生懸命やっていることの中には、たくさんの「ムダ」が隠れていて、こうした「ムダ」を一つ二つと改善することで本来の仕事にかける時間は増えるし、成果も変わってくるのです。

 今すぐに会社の仕組みをがらりと変えることはできませんが、今の自分の仕事のやり方を工夫するだけでも少しずつ「働き方」を変えていくことはできるのです。

 トヨタとトヨタ式から学ぶべきは「車のつくり方」だけではなく、「知恵を出し、日々改善する仕事術」であり、「知恵を出して働く人になる方法」なのです。

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桑原 晃弥

くわばら てるや

1956年広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者、不動産会社、採用コンサルタント会社を経て独立。人材採用で実績を積んだ後、トヨタ生産方式の実践と普及で有名なカルマン株式会社の顧問として、『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』(成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』(PHP新書)などの制作を主導した。著書に『スティーブ・ジョブズ名語録』(PHP文庫)、『ウォーレン・バフェット成功の名語録』(PHPビジネス新書)、『伝説の7大投資家』(角川新書)、『トヨタのPDCA+F』(大和出版)など。バフェット関連書籍多数。


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