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「潜在意識にすり込まれている」成功と失敗を経て磨かれた中村憲剛のパス

中村憲剛選手12月毎日更新 Q11 中村憲剛選手の代名詞と言えばスルーパス。どうして、あんなすごいパスが出せるようになったのでしょうか?(後篇)

川崎フロンターレの中村憲剛選手に聞く、「ここしかない」というスルーパスの出し方。実際にパスを出す瞬間の判断は、どのように行われているのでしょうか?

パスには無限の選択肢があり、同じものはひとつとしてない

 パスのスキルを磨こうと考えると、無限のパターンがあるわけですよね。身につけるには、数をこなしていくしかないんです。だから、練習や試合で成功と失敗を繰り返して、自分の感覚を磨いていく作業をするしか方法はなかった。

 それは今も一緒です。パスを出せると思ったときに、味方が走ってくれているか。また、パスを出せるところにボールを止められるか。
 シチュエーションによっても変わってきますが、パスを出せると思って、本当に出せれば成功しますし、ちょっとでも自分のボールコントロールがずれたり、味方の動き出しが遅ければ、失敗するわけです。失敗の事例だけでも今、ふたつのケースが考えられるわけですよね。それだけ試合では無限の選択肢があるわけです。

 それをここまで何百試合とやってきているわけですから、局面で言えば、単純計算しても、何千回、何万回と経験していることになりますよね。

 

 パスを出すときの判断は、瞬間的なものなので、そこは潜在意識にすり込まれているとでも表現すればいいんでしょうか。よくメディアの方から、「なぜ、あそこにパスを出せるんですか?」と聞かれることがありますけど、「見えるから」としか、言いようがないんです(笑)。それだけ試合の数をこなしてきた、訓練の賜物だと思っています。

 ただ、サッカーは、味方も敵もその場面、場面、局面、局面でどんどん変わっていく。同じことが二度と起こらないから、面白くもある。スルーパスひとつ取ってみても、似ているようなプレーはあるかもしれないけど、全部が違う。相手も違えば、パスを出す味方も違う。もう1回、同じことをやるのは無理なんです。だから、サッカーは面白いし、続けられるんですよね。 

明日の質問は…〈Q12 ここ最近で、指導者やチームメイトから言われて心に響いた言葉は?〉です。

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中村 憲剛

なかむら けんご

プロサッカー選手。川崎フロンターレ所属(背番号14)。

1980年10月31日生まれ。東京都小平市出身。6歳のときに府ロクサッカークラブでサッカーを始め、小金井第二中学校、都立久留米高校、中央大学を経て、2003年に川崎フロンターレに加入。2016年、歴代最年長の36歳でJリーグアウォーズ最優秀選手賞を獲得。プロ15年目を迎えた2017年現在も、チームの中心選手として活躍中。


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